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かっこいいのに!昔のRVに搭載されていたカンガルーバーがなくなったわけ

1990年代のRVブームの際に流行した装備の一つが「カンガルーバー」です。グリルやヘッドライトをぐるっと太いパイプで囲むように装着された、インパクトの大きい装備品です。今ではすっかり見かけなくなりましたが、流行の変化だけが理由ではないようです。一体どんな理由があるのでしょうか。

更新日2022/03/25

動物からクルマを守る!カンガルーバーとは?

カンガルーバーとは、その名の通りカンガルーからクルマを守るために生まれた装備です。広大なオーストラリアでは、道路を走行中に野生のカンガルーや鹿など大型の動物と接触する事故が多く、場合によっては走行不能になるほど大きな事故に至ることもあります。

市街地に近い場所で、すぐに車両サービスが受けられる場所なら良いですが、街から数百キロも離れたようなところで事故に見舞われ、万が一走行不能に陥ってしまったら大変です。

動物がはねられてしまうのはかわいそうなことですが、郊外で身動きが取れなくなってしまうのは人の命にも関わることですので、クルマの被害を最小限に食い止めるのも大切なことです。ですからカンガルーバーはそういった意味での安全装備ということです。

もちろんオーストラリアだけでなく、アメリカやカナダ、南米、アフリカなど広大な領土を持つ地域でも使われる装備で、「ブルバー」や「グリルガード」、「ムースバンパー」と呼ばれることもあります。

 

えっ、軽自動車にも!?あらゆるモデルにカンガルーバーが付けられていた時代

三菱 RVR 1991

日本では1990年代のRVブームの際に、カンガルーバーを装着して大径のフォグランプを付けるというのが大流行しました。もともと機能性装備として本格クロスカントリーモデルに取り付けられるのが主流ではありますが、ワンボックスカーやステーションワゴンにも車種によってはオプション設定、もしくは標準装備されるほどメジャーな存在となりました。

カンガルーバーは荒野を走るような本格オフローダーに装着されることが多いため、そういったモデルにも当たり前のように設定されるようになりましたが、日本だと大型の動物と衝突するという機会はそうそうないため、機能というよりもドレスアップ目的で装着されていたわけです。

社外品だとオーストラリアで見かけるような存在感のあるカンガルーバーもありますが、メーカー純正タイプのものはそれよりも控えめなデザインのものが多いように思います。

本格オフローダーであるランドクルーザーやランドクルーザープラド、サファリ、パジェロなどは力強さを象徴するかのように装着され、とてもよく似合いました。またテラノやサーフといったミドルサイズのクロカンモデルでもよく見かけましたね。

ランドクルーザープラドの中古車情報を見てみる

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ミラ RV-4 1994

ミラ RV4

ミニバンであれば代表的なのはデリカです。特に1986年登場の2代目デリカスターワゴンはRVブームの最中でもあったため、グリルガードとフォグランプが装着されたスタイリングがすっかり定着しました。3代目のデリカスペースギアはフロントにボンネットがあるタイプになりましたが、グリルガードの装着で本格的なオフロード性能を持つミニバンというキャラクターをさらに際立たせていました。

他にもミニバンで言えば、1994年に発売された、「セレナ キタキツネ」というモデルにグリルガードが装備されていました。

日産 ラシーン

また、初代インプレッサに設定されたグラベルEXやホンダ シビックシャトル ビーグル、三菱 初代RVR スポーツギア、日産 ラシーンといった、特に本格オフロードモデルではないタイプのモデルにもグリルガードが設定されました。

さらに軽自動車の小型ハッチバック、ダイハツ ミラにも、1992年にRV4と呼ばれるモデルにグリルガードが装着されていました。当時のRVブームがいかに根強かったかがよく分かりますね。

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なぜカンガルーバーは消えたのか

さて、これだけ流行したカンガルーバーですが、なぜ現在はほとんど見かけなくなったのでしょうか。

まず、このカンガルーバーは大型の動物と接触した時にクルマを保護するという目的で生まれたものです。ですから万が一人と接触する事故が起きた場合、クルマは大丈夫でも相手に大きなダメージを与えてしまうことがあります。つまり事故の際には加害性のある部品ということです。

交通事故の死亡者をなくすために自動車の安全基準が年々高くなっていることもあり、RVブームも落ち着いた頃にメーカーは自主規制という形でカンガルーバーの採用をやめていきました。

また2000年代にはクロスオーバーSUVの人気が高くなり、カンガルーバーの似合わない、シティユース前提のモデルが徐々に増えていったことも、消滅した原因の一つだと言えるでしょう。

 

今でもカンガルーバーは付けられる?

トヨタ ハイラックス カンガルーバー

前述したように、カンガルーバーはメーカーの自主規制という形で消滅しましたので、現在も法律で禁止されているというわけではありません。自動車の安全基準を満たした製品と取り付け方法であれば、社外品のカンガルーバーを装着することができます。

社外品であれば、本格クロスカントリーモデルの力強いスタイリングをさらに強調できるグリルガードキットが現在も多数販売されています。

 

RVブームで大流行したカンガルーバーですが、今では安全上の理由で消滅しています。林業や郊外を走行する作業車など、動物との接触の可能性がある職業の方にとっては必要な装備かもしれませんが、安全性を考慮すると都市部では不要な装備と言えるでしょう。

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文・SUV FREAKS編集部

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