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ランボルギーニやベントレーだけでなく、ロールスロイスも?なぜ超高級SUVが登場するのか
2017年12月、ランボルギーニ初のSUVウルスが発表されました。ランボルギーニらしいスタイリングでありながらSUVで、SUVでありながら最高速を305km/hに達するという、まさにモンスターマシンです。同様に、ベントレーからも最高速度300km/hオーバーのSUVがすでに登場しているほか、マセラティやジャガーといった高級ブランドでも初のSUVがリリースされています。そして、2018年にはロールスロイスからも、ブランド史上初のSUVが登場すると言われています。このような高級ブランドでのSUVブームの背景には、どのような事情があるのでしょうか?
更新日2019/08/26クロスオーバーSUVの登場
これまでのSUVスタイルのクルマと言えば、どちらかと言えば悪路走破性能を主眼としたクロスカントリービークルというものが主流でした。そうしたクルマのほとんどは、ラダーフレームと呼ばれる強固な設計を持っているものがほとんどであり、あくまでも悪路を走るためのクルマでした。
したがって、レザーシートを配するなどして高級感は演出できても、本当の意味でラグジュアリーなクルマにはなりづらかったという背景があります。
例えば、トヨタ・ランドクルーザーや三菱・パジェロはロングセラーとして評価されてはいますが、「高級感」という面ではいまひとつです。
メルセデスベンツ・Gクラスも、元々は軍用車として設計されたということもあり、富裕層に向けられて設計されたものではありません。唯一、ランドローバーだけが「砂漠のロールスロイス」という異名をとるなど、富裕層向けSUVとして開発されたと言えるでしょう。
一方で、そうしたSUVの持つ副次的要素、例えば、アイポイントの高さや居住空間の広さ、積載能力の高さは、悪路を走ることのない都市部のユーザーにも魅力的なものでした。
そこで、乗用車をベースに、高いロードクリアランスを確保し、居住性の高いボディを組み合わせた市販車ベースのSUVが登場したのです。これがクロスオーバーSUVと言われるものです。クロスオーバーSUVは1990年代より各ブランドから発表され、いまではほとんどのSUVが乗用車ベースのものとなっています。
ポルシェ・カイエンの登場
クロスオーバーSUVの登場によって徐々に人気を博していったSUVですが、富裕層に向けてという意味では。ポルシェ・カイエンが重要な役割を持っています。
2002年に登場したカイエンはポルシェ初のSUVです。ポルシェと言えば911に代表されるスポーツカーブランドですが、当時は厳しい経営状態の末にVWグループの傘下となっていました。
VWの資本を手にしたポルシェが、再起を賭けて発表したのがこのカイエンです。ポルシェ自身はカイエンをあくまでも「スポーツカー」と表現しているように、その走行性能はまさしくポルシェのものでした。一方で、SUVとしての悪路走破性能も兼ね備えており、砂漠は250km/hで走ることのできるクルマとして、世界中に衝撃を与えました。
カイエンは日本を含めた世界中で大成功を収め、その後様々なモデルが派生しただけでなく、現在ではより小型のマカンも登場するなどポルシェブランドを牽引する存在となっています。
なぜ、超高級SUVか
では、なぜ以前は超高級SUVがほとんど存在しなかったのでしょうか。答えは簡単です。市場が小さかった、つまり買う人がいなかったからです。フェラーリやランボルギーニ、あるいはロールスロイスやベントレーのような数千万円クラスの高級車を購入できる超富裕層はヨーロッパの一部の国やアメリカ、日本などごく限られた国々がほとんどを占めていました。
そうした国々は、交通インフラも整備されているため、悪路を走る必要がなく、そもそもSUVのようなモデルを必要としなかったのです。
誤解のないように付け加えておくと、日本やアメリカにも本格的なクロスカントリービークルでなければ走れないような道や、そうしたクルマを必要とする富裕層もいるでしょうし、発展途上国にも富裕層は存在しています。ただ、自動車メーカーが彼らのために新型車を開発するほどの規模ではなかったのです。
近年、中国やインド、ロシアやブラジルといったいわゆるBRICsや東南アジア諸国の経済成長が著しいこともあり、そうした国々にも富裕層が増えてきました。
数千万円クラスの高級車を購入できる経済力を手にした一方で、交通インフラが追い付いておらず、デリケートなスーパーカーではそのパフォーマンスを充分に発揮できないばかりか、安心して走れないという問題がありました。そこで、超高級SUVが必要とされるようになったのです。