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ポルシェ マカンはなぜ人気車種となった?
ドイツを代表するスポーツカーメーカーのポルシェの中で、最も中心となるモデルがいつの時代も911であることは間違いないことでしょう。一方で、現代のポルシェは、大型セダンからSUV、2シーターオープンまでラインナップする非常にバリエーションに富んだブランドでもあります。そしてそれがいたずらな多角化戦略の結果ではなく、ビジネス上の成果に結びついていることもポイントです。ここではそうした新時代のポルシェの中核を担うモデル、マカンについて見てみたいと思います。
更新日2021/04/15ポルシェがSUVを出した!
マカンの紹介をする前に、先に触れておかなければならないモデルがあります。それは、ハイパフォーマンスSUVの元祖とも言える、ポルシェ・カイエンです。
2002年に登場したカイエンはポルシェ初のクロスオーバーSUVです。当時は厳しい経営状態の末にVWグループの傘下となっていたポルシェが、再起を賭けて発表したのがこのカイエンです。
ポルシェ自身はカイエンをあくまでも「スポーツカー」と表現しているように、その走行性能はまさしくポルシェのものでした。一方で、SUVとしての悪路走破性能も兼ね備えており、砂漠は250km/hで走ることのできるクルマとして、世界中に衝撃を与えました。
世界中で大ヒットとなったカイエンは、911同様に様々なバリエーションが用意されました。憧れのポルシェ、憧れのカイエンに乗っているという満足感を与えつつ、異なる価値観を持つオーナーのニーズに答えるポルシェのバリエーション戦略は、自動車メーカーの戦略として非常に興味深いものです。
そしてマカンの登場
2013年11月の東京モーターショーとロサンゼルスモーターショーにおいて、カイエンよりも小型のSUVであるマカンが同時に世界初公開されました。ポルシェは2010年の段階で「ケイジャン」というコードネームで小型SUVの開発を進めていることを明らかにしていたため、満を持しての登場だったと言えるでしょう。
インドネシア語で「トラ」を意味するマカンという名が与えられた新型SUVは、同グループ内のアウディ・Q5と約30%のコンポーネンツとプラットフォームを共有しています。
搭載されるエンジンは2リットル直列4気筒エンジン、3リットルV型6気筒ツインターボエンジンと、3.6リットルV型6気筒ツインターボエンジン、そして3リットルV型6気筒ターボディーゼルエンジンの4種類です。組み合わされるトランスミッションは、7速PDK、駆動方式はAWDのみとなっています。
グレードは標準仕様に加え、最高出力を360馬力まで向上させたマカン GTS、そして最高出力を400馬力まで向上させたマカン ターボの3グレードが用意され、さらにいくつかの仕様が展開されています。価格は699万円からと、718ケイマンと718ボクスターと並び、ポルシェの中では最も安価なモデルの1つとなっています。
間違いなく人気の出るモデル
マカンは、発表前からすでに成功が約束されていたモデルと言えるかもしれません。911で培ってきたスポーツカーブランドの世界最高峰というブランドイメージに加え、カイエンの成功によりSUVブランドとしてのイメージも醸成されていました。
加えて、カイエンより小型で安価に購入できるモデルということで、ボディサイズの面や価格の面でカイエンに二の足を踏んでいた消費者のニーズをとらえています。さらに、ポルシェにとってこれまでエントリーモデルと言えば、718ボクスター/718ケイマンといった2ドアのスポーツカーであり、ファミリーには向かないという課題がありました。
そんな中、カイエンと同様の見た目を持ち、大人5人が快適に乗れるサイズでありながら日常生活で困らないサイズ感であり、なおかつ安価であるにもかかわらず、ポルシェに乗っているという満足感を与えられるモデルという点で、「人気が出ないわけがない」モデルです。
マカンのデザインがカイエンに酷似しているのは、あえて変える必要性を認めず、マカンをカイエンの弟分であることを強調したかったのでしょう。
卓越したポルシェの戦略
カイエンとマカンは、現在ではポルシェの快進撃を支える立役者となっています。カイエンもマカンも決して日本市場だけをターゲットにしたわけではなく、グローバル戦略の中で登場したモデルです。
一方で、日本市場は右ハンドル仕様を導入するなど、ローカライズもしっかりしているところがポルシェの強みです。従来よりも小型で安価なモデルを販売しているにもかかわらず、ブランドイメージを既存するどころかしっかりと顧客層を開拓している点は、ポルシェの戦略が非常に優れていることの証明と言えるでしょう。