【SUVだからこその絶景】照る山と本格珈琲。旅の相棒はアウトランダー

SUVは、いまや乗用車の新しいスタンダードとなりつつある、といっても過言ではないでしょう。これまでのスタンダードだったセダンやステーションワゴンよりもゆったりくつろげて、荷物もあっさり飲み込んでくれる利便性に優れたパッケージング。

更新日2019/08/19

TEXT:嶋田智之(Shimada Tomoyuki)、 PHOTO:山田真人(Yamada Makoto)、
MODEL:杉原あやの(Sugihara Ayano)

ミニバンのような生活臭さはほとんどなく、むしろ趣味性の高いライフスタイルの香りすら漂う存在感。乗用車に求めたくなるものを綺麗に満たしているクルマがほとんどであるうえに、SUV特有の持ち味が魅力として上乗せされていて、抗いがたくなりますよね。その一方で、SUV誕生のルーツであり、そもそもの存在価値でもあった“どこでも走れる”性能を求める人というのも、少なからず存在します。アウトドア・アクティヴィティを本気で楽しんでいる人などは、その代表選手でしょ

日常的に乗用車として不自由なく快適に使うことができ、オフの日には道なき道にも分け入って、大自然と遊べること。その双方が高い次元でバランスしながら備わっているクルマが理想的、というわけです。

そのひとつの回答が、この2代目三菱アウトランダーでしょう。……えっ? いいえ、違うのです。プラグインハイブリッドのアウトランダーPHEVではなく、そのベースとなるガソリンエンジンを搭載した“素”のアウトランダー、です。

PHEVは先進技術を搭載していてその事実だけで惹かれるものがありますし、モーターが生み出す強力なチカラと素晴らしく滑らかな乗り味も魅力的、おまけに外にいても電化製品の電源になってくれるというメリットまであったりします。けれど、じつは“素”のアウトランダーにこそ、本気のアウトドア・アクティヴィティに効果あり!な要素がたくさん詰まっていたのでした。

というところで、白状しておきましょう。今回ここに登場するアウトランダーは、撮影を担当してくれたカメラマンの愛車です。彼は長いことアウトドア専門誌の編集者として出版社に勤めた後に独立して、現在はアウトドア系の仕事を中心とするカメラマンとして活動しています。副都心に住みながらも、仕事だけでなく元々の趣味もあって、おそらく年の半分近くをアウトドアで過ごしているのではないでしょうか?

彼のクルマ選びの基準はただひとつ。アウトドアでしっかり使えるクルマであること、です。彼がアウトランダーを選んだ理由は、以下のとおりでした。

まずは積載性。アウトランダーは近頃流行りのクーペスタイルではなく、リアは比較的カッチリとボクシーで、そのぶんだけ荷室も広く使いやすく、さまざまなギアを収納しやすいのです。2列目のシートが前後にスライドするのも、荷室を有効に使うためにはありがたい備え。その2列目のシートを倒せばフルフラットになり、車中泊が必要なときに快適に過ごせるのも大きな要素なのだとか。

さらにアウトランダーは、3列目のシートを持つ7人乗り。たとえば山の中で友人たちとキャンプをしていて「ちょっと温泉に入りに行こうか」というようなときに、普段は使うことはほとんどないとはいえ、1台で7人を運べる機動性は、心理的にも実際にもすごく楽でしょうね。

彼があえてPHEVを選ばなかったのはこのあたりに大きな理由があって、PHEVではハイブリッドのシステム一式を搭載する関係で2列目のシートをスライドさせることができず、2列目シートを使っているときの荷室の前後長は60mm短い。また3列目シートも備わっていません。

さらにもうひとつ、同じ4WDモデルで較べた場合、ガソリンエンジンのアウトランダーはPHEVよりも車重が軽いのです。アウトドアを楽しむときに4WDシステムの威力に期待をかけたいもっとも多いシチュエーションは、主として砂利や小石などがゴロゴロしている河原、あるいは砂浜など。そうした場合に有効なのは、必要以上の力強さはなく軽さであることが多いのです。

そして彼がアウトランダーを選んだ、もうひとつの要素がありました。全長4,695mm、全幅1,810mm、全高1,710mmの、その全高。これはルーフレールを利用してボックスを取り付け、収納に使ったり、カヌーのように車室内に収まらないギアを載せたりしたときにギリギリで手が届く高さであり、なおかつ車内の乗員が窮屈さを感じない低さ。その双方がバランスした絶妙な全高なのだとか。なるほど、本気でアウトドアを楽しむ人は、見るところが少々違って徹底してますね。

さて、ここから先は自動車ライターとしての僕の仕事です。今回はカメラマンを含め、大人4人で東京から2時間半ほど先にある山の上を目指しました。高速道路に入って最初に気づいたのは、想像していた以上に洗練されている乗り心地。4人乗車でもサスペンションはしなやかな動きを見せ、路面の継ぎ目やうねりなどをすんなりとやり過ごします。

室内はロードノイズなども上手く押さえられていて、リアシートの人と会話できるぐらい静かで、なかなか快適。124kW(169ps)/220Nmの2.4L 直列4気筒エンジンと6速スポーツモード付きのCVTは、瞬発力にはやや欠けるところはあるものの力不足を感じることはなく、巡航に入ると思いのほか速いです。

そのエンジンは上りの山道に差し掛かってもじれったさを感じることはなく、CVTが上手い具合にトルクの美味しい回転域を使わせてくれるので、ストレスらしいストレスを強いられたりもしませんでした。右に左にとカーブが続くセクションでは、安定性重視の動きを見せますが、この種のクルマにしては素直に曲がってくれます。

4人乗車ですからコーナーを攻め立てるような走らせ方はしていませんが、その範囲内ではなかなか気持ちよく楽しいハンドリングを味わわせてくれます。

目的地へと辿り着く少し手前は、クルマが侵入することは許されてるけど誰がここに入るんだ?と思えるような荒れた舗装、砂利道、砂の浮いた剥き出しの乾いた土、落ち葉の積もる日陰のぬかるみ……などが交替交替で足を取ろうとする、悪路の百貨店のような細い道。

けれどアウトランダーの電子制御4WDのドライブモードを“4WD AUTO”にしてアクセル操作をていねいにしている限り、なんの問題もありませんでした。リアタイヤが滑ったと思えばフロントタイヤがグッとグリップを強めてくれたりして、難なくクリア。

そして辿り着いた先で僕たちがなにをしたのかというと……コーヒーを飲んだのでした。ただしコンビニで買ってきたようなものではなく、小川のせせらぎから水を分けてもらい、キャンプ用のバーナーで沸かし、自宅から持ってきた挽きたての美味しい豆と道具でドリップする、というコーヒーオタクならではのやり方。

標高1500mを越える高地では湯の沸点が違うし、沸いた湯はすぐ冷め始めるしで温度管理が難しく、自宅で淹れるようにはいきませんでしたが、それでも美しいパッチワークのように赤と橙と黄がグラデーションを描く秋の山々の佇まいを眺めながらのコーヒーは、なかなかのものだったと自負しています。

こういうお手軽なのもアウトドア・アクティヴィティのうち、でしょう?

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