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ジムニーには、なぜパートタイム4WDが搭載されているの?

2018年7月、20年ぶりにフルモデルチェンジを行い話題となった、スズキの本格オフロード4WD「ジムニー」。4WDシステムは、パートタイム式が採用されています。4WDシステムといえばフルタイム方式が採用されることが多いのですが、ジムニーにはなぜパートタイム式4WDが採用されているのでしょうか。

更新日2019/02/03

パートタイム4WDとは?

最近では、新車で登場するクルマの多くには、4WDモデルがラインナップされています。SUVに限らず、コンパクトカーやミニバン、セダン、小型トラックなど、あらゆる車種に登場しています。これらの車種で採用されている4WDシステムの多くはフルタイム方式であり、ジムニーのようにパートタイム方式はほとんどありません。

そもそも一般的な4WDシステムは、エンジンが発生する動力をプロペラシャフトなどによって「トランスファー」と呼ばれる機構に伝えられ、そこから前輪と後輪に駆動力が分配されます。

トランスファーレバー

パートタイム4WDは、このトランスファーに直結する「トランスファーレバー」を操作して、2WDと4WDを手動で切り替える方式のことを指していますスイッチ式のタイプもありますが、ジムニーはレバー式です

平坦な舗装路を走る際には2WDで走行することで、機械抵抗を少なくし、快適で燃費の良い走行をすることができ、雪道やぬかるんだ道など、大きな駆動力が必要な時には任意で4WDに切り替えられます。

 

パートタイム4WDには弱点がある

ジムニーシエラ

クルマは、左右どちらかに曲がる場合、内側のタイヤと外側のタイヤで、回転の差が生じます。この回転差は、左右輪の間にある「デファレンシャルギヤ」という装置によって、解消しています。

しかし、この回転の差は前後のタイヤの間でも生じているため、前後共、同じ回転数で駆動力を伝えるパートタイム4WDの場合、4WDに切り替えた状態で曲がろうとすると、ブレーキがかかったようなギクシャクした動きになってしまいます。これを「タイトコーナーブレーキング現象」といいます。

ジムニーの取り扱い説明書を見ると、「乾燥した舗装路では、2WDで走行してください」と記されています。駆動装置を損傷させたり、タイヤの磨耗を早めたりする恐れがあるからです。

一方フルタイム4WDは、この弱点を解消した機構です。フルタイム4WDには様々な仕組みのものがあるので、ここで詳しく説明することは避けますが、最近採用されているのはセンサーが車両の走行状況や挙動などをモニターし、状況に応じて前後のトルク配分を電子制御で可変させるというものです。そのため、普段は2WDで経済的な走行を行い、すべりやすい路面を走行してクルマの挙動が変化したときには、必要に応じてトルクを伝えるというもので、ドライバーは特に切り替え操作などをする必要はありません。

 

ジムニーがパートタイム4WDを採用するのはなぜ?

ジムニー

こうして見ると、フルタイム4WDの方が優れた4WDシステムだと考えられます。路面状況に応じて駆動力が切り替わり、最適な走行が可能なシステムを導入した方が、クルマとしての性能は高いといえるでしょう。

例えば、本格オフロード4WDの代表格であるランドクルーザーはフルタイム4WDを採用し、トラクションコントロールや、四輪それぞれのブレーキを細かく制御し、高い悪路走破性を実現させています。ただし、これらの4WDシステムは非常に高価であり、ジムニーに同じ装備を搭載するとなると、非常に高価なクルマになってしまいます。しかしながら、シンプルなパートタイム方式であれば、4WDシステムを経済的な価格で導入できます。

ジムニーを紹介するメーカーページには、「高い脱出性能を実現するだけでなく、シンプルな構造によって高い信頼性を確保。過酷な環境を走るからこそ、ジムニーはパートタイム4WDを採用し続けてきました。」と記されています。堅牢なラダーフレーム構造にFRレイアウト、パートタイム式4WDの採用は、「ジムニー」というクルマであり続けるための「アイデンティティ」なのです。

ジムニーを愛車として選ぶユーザーには、手動でトランスファーを切り替えることを面倒に感じるはいないと言われており、パートタイム4WDのメリットと弱点を理解した上で、トランスファーの操作も含め、ジムニーに乗ることを楽しんでいると思います。

 

ジムニーという独特の個性を持つクルマは、シンプルで信頼性の高い、パートタイム4WDを採用することによって「本格オフロード4WD」の地位を築いてきました。様々な電子制御デバイスはクルマをより安全に、快適にさせてきましたが、ジムニーは「メカを操作する楽しさ」を提供する、数少ない一台です。

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