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アウディに搭載されるSトロニックは、他のトランスミッションと比べてどう違うのか?
アウディTT、A1からA7、スーパースポーツR8、SUVのQ2とQ3とQ5に組み込まれている「Sトロニック」は、いわゆるDCT(デュアルクラッチトランスミッション)と呼ばれるトランスミッション形式です。今回は、このSトロニックの長所とその特徴について解説していきます。
更新日2019/02/20Sトロニックトランスミッションとは?
“2ペダルMT”とも呼ばれるDCTは、2つのクラッチを使うことで、ダイレクトかつ素早い変速が可能です。アウディでは、Sトロニックという名前がついていますが、フォルクスワーゲンのDSGと機構は同一です。
ATよりもMTに近い
日本メーカーでも日産 GT-Rやホンダのハイブリッドシリーズに、DCTが搭載されていますが、欧州メーカーのものと比べると、変速がマイルドでATから乗り換えても違和感は少ないです。
DCTでは発進時の制御が難しく、変速ショックや異音につながることがありますが、発進と停止を多く繰り返す日本では、発進時の滑らかなクルマが好まれるためです。このように、日本車のDCTはダイレクト感よりもスムーズさを優先しているところがあります。
Sトロニックは、AT限定免許でも運転することができますが、“2ペダルMT”と呼ばれるように、走行フィールはMTです。このSトロニックは、いったんスピードに乗ってしまえば、高速シフトチェンジで気持ちのいいドライビングができるのですが、渋滞などでゆっくりと走るシーンであったり、駐車場などでバックするシーンは苦手です。
停止状態から発進する際、半クラッチからクラッチがつながった状態になるまでアクセルペダルの動きに対してワンテンポ遅れて動き出す感じや、バックギアにいれてもクリープがないなどが、ATやCVTと異なります。
Sトロニックの特に良いところとは?
DCTは、ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニなどのスーパースポーツカーだけでなく、BMW、メルセデス・ベンツ、ルノーやプジョーにいたるまで、さまざまなメーカーの車両に搭載されている装備です。そんななかにあって、Sトロニックの良いところは、ダイレクト感と変速の速さでしょう。
筆者が過去に試乗をした際、同じジャーマン3のBMWとメルセデスベンツのセダン系に搭載されたDCTに比べ、Sトロニックは一旦3速まで上がってしまえば快速のシフトチェンジを行うことができ、自由自在に操れます。
マニュアルモードで操作しても、機械任せに変速させても、クラッチがつながったと感じる瞬間がしっかりとあり、スポーツ寄りに作られている印象でした。
逆にBMWやメルセデス・ベンツの味付けは、Sトロニックよりもダイレクト感を消して、継ぎ目を無くしたスムーズさが目立っていました。ゆえに変速タイミングが分かりにくく、アクセルペダルを使ったクルマとの対話がしにくい印象でした。追い越し加速などで非常に気持ちいいのが、Sトロニックの特徴といえるかもしれません。
CVTやトルコンATの多い日本では、マイナーな存在のDCTですが、ロングツーリングが多く、元々MT車の文化が強い欧州では、積極的に取り入れられている技術です。各社でその味付けは異なりますが、アウディのSトロニックを含むフォルクスワーゲングループのDCTは、他メーカーに先駆けて市場に投入したこともあり、積極的に進化しされているようです。