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和製ハマーと呼ばれるトヨタの多目的車、メガクルーザー
トヨタ自動車が販売していた多目的4WD車「メガクルーザー」をご存知でしょうか?巨大なボディを持ち、非常に高い悪路走破性能を誇る特殊なモデルでした。今回はこの「メガクルーザー」についてご紹介します。
更新日2019/05/09陸上自衛隊の高機動車を民生用に仕立てたモデル
メガクルーザーは、陸上自衛隊の人員輸送車両として開発された「高機動車」を、民生用に仕立てた多目的車です。1993年の第30回東京モーターショーに参考出品され、1996年に市販されました。
全長5,090mm、全幅2,170mm、全高2,105mm、ホイールベースは3,395mmと巨大なボディを持ち、非常に高い登坂性能、不整地走破性能を備えており、主な用途は、災害時の救難救助、救急車、学術調査などの未開地域走破などでした。
アメリカ軍の軍用車「ハンヴィー」の民生用モデル「ハマーH1」と似た外観やコンセプトから、「和製ハマー」とも呼ばれています。開発の主眼は、救援や人命救助といった業務目的ですので、いわゆるレジャーやアウトドアで使用するSUVとは異なるコンセプトです。
「メガクルーザー」という車名は、「巨大な」という意味のメガと、「巡洋艦」を意味するクルーザーを合わせて付けられています。その名のとおり、これまで日本で販売された自動車の中でも最大級の大きさで、その用途を考えると、街中で見かけることは難しいかもしれません。
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悪路をもろともしない走行性能
前述のとおり、大きなボディサイズではありますが、前輪の操舵方向に対して、後輪が逆位相で操舵する4WSを採用、これにより最小回転半径は5.6mという、乗用車並みを実現しています。
また、通常はタイヤの中心に位置するドライブシャフトの高さを上方に設置し、ギアを介してハブと連結させる方式を採用。それによってデフやブレーキなどの配置も高くなり、420mmもの最低地上高を確保しています。トヨタの本格クロカン4WD、ランドクルーザーの最低地上高が225mmですから、メガクルーザーがいかに不整地走破を目的として作られているかが分かります。
また、メガクルーザーはフルタイム方式の4WDを採用しています。そのため、滑りやすい路面やタイヤが浮いて空転する状況が生じた時は、デファレンシャルギヤの回転差動によって駆動力が伝わらなくなってしまいます。これを防ぐため、運転席にあるスイッチでセンター、フロント、リアのデフをロックする機構が備わっています。
また、ぬかるみや雪路などでスタックした場合、リアの空気圧を減圧して接地面積を増やす「リアタイヤ空気圧調整装置」をオプションで用意しています。これにより、大きな駆動力を引き出せるため、容易に脱出することができます。
サスペンションは、前後ともダブルウィッシュボーン式の独立懸架を採用。高い横剛性を発揮し、路面からの突き上げも効果的に吸収します。またフロントサス、リアサス共に、トーションバースプリング(ねじり棒バネ)方式を採用し、オンロードでの快適な乗り心地を追求しながら、悪路での路面接地性能も高めています。
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エンジンは4.1L直列4気筒直噴ディーゼルターボで最大出力155ps、最大トルク39.0kgmを発生しますが、1999年に実施されたマイナーチェンジにより、170ps/43.0kgmに出力の向上が図られています。
エクステリア、インテリアは共に機能性を重視したもので、特に高級感があるわけではありません。前席は2名乗車となりますが、運転席と助手席の間には大型のセンターコンソールがあるため、それぞれ独立しています。デザインはいたってシンプルで機能的、タコメーターも付いていませんが、警告灯の表示を大きくし、スイッチ類も使いやすい位置になるよう工夫されています。
後席は4名乗車することができ、その後ろは荷室になっています。また室内幅は2,050mmあり、大型の救急器具などが600kgまで積載可能な広大なラゲッジスペースがあります。
メガクルーザーは2001年8月に生産終了となりましたが、ベース車両となっている高機動車の生産は続けられています。
非常に高い悪路走破性を誇るメガクルーザーは、厳しい走行条件下での災害救助などに活躍してきました。こうした特殊なモデルがかつて市販されていたというのも興味深いですね。