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最高出力よりトルク特性がクルマを決める!?

トルクとパワーはなにが違うのか?正直言って、あまり難しく考える必要はありません。大切なのはエンジンやモーターで発生した力で、最終的にタイヤを回して進んだり減速したりして、その力をドライバーが感じて、どう運転するかということです。ただ、そんな体感の元となる力の特徴を少し知っていれば、クルマ選びや運転の助けなりますね。

更新日2020/02/21

加速はトルク、スピードはパワー

トルクはエンジンのクランクシャフトを回す力です。簡単に言えばトルクに時間は関係なく、クランクを1回転させるのに1秒でも1時間でも同じ力ということです。

いっぽうパワー(出力・馬力)は、一定時間にどれだけの仕事ができるか(仕事率)なので、スピードに関係します。

トルクはクルマが動き出すときの力強さや、その後の加速に表われ、パワーはスピードが出るか、出ないかに表われます。

トルク×エンジン回転数=パワーなので、同じトルクでもエンジン回転数が高い方がパワーが出るいうことです。

昔のレーシングエンジンのようにエンジン回転数が高くできるほうが、単純にパワーが出ているからスピードも出るということになります。

ただし一般のクルマでは、むやみにエンジン回転数を高くすれば(スロットル開度が大きい)、燃費が悪化してしまいますから、実用域=低中回転域のトルクが重要になります。

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トルクはNm、パワーはkWで表記

エンジンやモーターが生み出した力を数値で表してします。トルクはNm(ニュートン・メーター)で表記し、従来のkgf・m(キログラム・メートル。F はforce=フォース=力の意味で表記されない場合もあります)も併記される場合があります。

rpm(レボリューション・パー・ミニッツ)は、1分間のエンジン回転数です。最後のminiteは単数でsは付きませんが、発音はツに近いトゥなのでカタカナではツと表記されることが多いですね。

いっぽう最高出力は、kW(キロワット)で表記され、従来のPS(pferde・strke。メートル法。フランスで設定されたので仏馬力とも呼ばれることもあります)や、hp、bhp(イギリスやアメリカ。いわゆる馬力=ホースパワーで)も併記されることもあります。

クルマやバイクの世界では、こうした従来のkgf・m、PS、hpなどが馴染みがあるので現在でも併記されるのですが、モーターはkW(ときどきPS相当値が表記されることもあります)。1PS=0.986hpなので両者はほぼ同じで、1PS=0.7355kW、1kgf・m = 9.8Nmです。

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低回転から高トルクのディーゼル、上まで回せるガソリン

トヨタ ランドクルーザー 2017ガソリンエンジンのトヨタ ランドクルーザーと、ディーゼルのランドクルーザープラドで比較してみましょう。

ランドクルーザーのガソリン4.6L V8(自然吸気・可変バルブタイミング機構装備)は最大トルク460Nm(46.9㎏m)/3,400rpm、最高出力234kW(318PS) /5,600rpmで、プラドのディーゼルターボ2.8L 直4は、最大トルク450Nm(45.9㎏m)/1,600~2,400rpm、最高出力130kW(177PS)/3,400rpmです。

最大トルクはほぼ同じですが、発生回転数がディーゼルエンジンのほうがずっと低く、しかも最大トルクを維持している回転数の幅が広くなっています。

これはエンジンが効率良く回り、燃費も良いトルクバンド(最大トルクから少しトルクが落ちるところあたり)が、広いことを意味します。燃費は、ランクルのガソリンエンジンのはJC08モードで6.7km/L。対するプラドのディーゼルエンジンは、9.0km/Lで、燃料もレギュラーガソリンと軽油という違いがあるので、経済性ではディーゼルが断然有利です。

いっぽう最高出力は、ガソリンエンジンが高く、しかも回転数も高くなっています(最高回転数も約1,000rpm高い)。

エンジン性能曲線から読み取ると、ディーゼルエンジンの最高出力130kWを発生する3,400rpmで、ガソリンエンジンは、160kW前後を発生しそうです。

逆にディーゼルエンジンの最大トルクを発生する2,000rpm前後では、ガソリンエンジンのトルクは400Nmあたりとなり、ガソリンエンジンがやや下回りますが、総じて排気量が断然大きいガソリンエンジンのほうがパワフルで、パワーバンド(最大トルク~最高出力のエンジン回転数の幅)も広くなっています。

最大トルクを発生した回転数から先は、トルクが下がっていきますが、パワーが上昇していくので、スポーティに速く走るならココを使えば良いのです。

つまり、エンジン性能曲線を見ればパワーバンド、トルクバンド、トクルやパワーの上がり方、キープ、落ち込みも一目瞭然で、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンのキャラクターの違いも良くわかるというわけです。

もともとガソリンエンジンは、エンジン回転を上げやすく(当然アクセルレスポンスも良くなります)、高回転まで回しやすいのでパワーが出ます。

ディーゼルエンジンは低回転域から大きなトルクを発生させやすい反面、高回転で回しにくく、レスポンスもガソリンエンジンより鈍くなります。

ちなみにモーターはというと、低回転からいきなり最大トルクを発生し、その後落ちていきますが、最高出力を幅広い回転域で発生させることができます。EV車が加速が良いのはこういう特性のおかげです。

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エンジン特性を生かすミッションも大切

と、ここまでは、エンジンやモーターなどパワーユニット単体の話です。

トランスミッションやデフなどでクランクの回転を減速してタイヤに伝えるので、減速比は実際に走るクルマの走行性能やフィーリングに大きく影響します。そのエンジン特性に最適になるようにミッションの減速比・変速数が設定されているわけです。

最高速が200㎞/h以上必要なのか、歩くような極低速でも急登坂できるよにするのかは、エンジンも含めてクルマのキャラクターによって異なるというわけです。

スポーツ性の高いディーゼルSUVに乗ると、車速の割りにエンジン回転数が低く、しかもシフトアップして車速が上がっても、エンジン回転数が依然低いことにに驚かされます。

また、EV車で最高速140㎞/hぐらいまでなら多段ミッションは不要で、モーターの回転だけでカバーします。が、今後はさらに高速域を狙うとか、モーターを小型化するとかで2~3速ミッションを備える可能性もあります。

 

もうガソリンエンジンだからとか、ディーゼルエンジンだからという時代ではありません。アウディがルマンカーに、フォルクスワーゲンがパリダカールマシンにディーゼルのレーシングエンジンを使ったころから、時代が一気に進みました。クルマをより知りたいなら、一点の最大値だけではなくて、連続した性能を表したエンジン性能曲線を見ておくといいですよ。SUVでもクロカン的な低中速性能を求めるのか、オールラウンドでオンロードでのスポーツ性もほしいのかで、随分違いますからね。

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