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ただのデザイン?よくわからないフロントグリルの役割とは?

フロントグリルは車種によって、デザインに特徴があります。ことSUVとなると、グリルのサイズが大きく堂々としたデザインが主流になりつつありますが、フロントグリルはデザインのためだけにあるのでしょうか?今回はフロントグリルの役割に注目してみます。

更新日2020/03/12

フロントグリルの役割とは?ランドローバー ディフェンダー 2019

一部の車種を除いて、自動車のエンジンはフロントのボンネット内に収まっています。そのエンジンを冷却するために、現代のクルマにはラジエターが装備されています。

ラジエーター内部には無数のパイプが走っており、そこをエンジンから熱を奪ってきたクーラントが通っています。それに走行風をあてることで、クーラントを冷やしています。走行風が一番よく当たる車両の前面にラジエターを配置すれば、冷却効率は高まります。

余談ですが、ラジエターを通過した走行風は、ボンネット内のエンジンにもあたっており、少なからずエンジン冷却にも役立っています。

そのラジエターを飛び石などから守るためのパーツがフロントグリル(直訳すると前側の網)で、昔は「ラジエーターグリル」と呼んでいました。

エンジンの発熱が大きければ、そのぶんだけ冷却する必要があり、以前はフロントの開口部はちょっとした性能の証ともなっていたのです。

ところが近年は、技術の進歩によってラジエターの効率が高められていますので、それほど大きな開口部がなくても、十分にエンジンを冷却することができるようになっています。

ですから現在のフロントグリルは、冷却のために開口部という機能もありますが、デザイン面で果たす役割のほうが大きいと言えるでしょう。特にフロントはクルマの顔ですから、グリルのデザインはクルマの印象を大きく左右する、デザイン上重要なパーツでもあるのです。

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フロントグリルはブランドの顔

BMW X7 2018フロントグリルをよく見るとその形はさまざまです。サイズも大小いろいろあり、左右上下に分割されていたり、あるクルマは網目になっていたり、スリット状になっていたり、メッキで豪華に加飾されていたりします。

歴史ある自動車メーカーの多くは、フロントグリルにアイデンティティを持たせています。特徴的なフロントグリルと言えばまっさきに挙げられるのは、BMWのキドニーグリルでしょう。キドニーとは英語で”腎臓”のこと。左右2つに分割されたグリルが腎臓のように見えるので、そう呼ばれています。キドニーグリルは、戦前の1933年に登場した303から採用されており、現在でもBMWの顔となっています。

イタリアの自動車メーカー、アルファロメオもフロントグリルがアイデンティティとなっています。アルファロメオのグリルは特徴的な逆三角形の盾型グリル。1936年ごろの、6C2300から採用されています。SUVのステルヴィオにも、縦型グリルが採用されており、個性的なフロントマスクを形成しています。

ロールスロイス・カリナンイギリスの高級自動車メーカー、ロールスロイスといえば、ボンネット先端の翼を広げた女性のマスコット、スピリット・オブ・エクスタシーが思い浮かぶかもしれません。しかしそのマスコットとともにロールスロイスを特徴づけているのは、パルテノン神殿をイメージしてデザインされた大きな平面グリルです。その原型はすでに1904年に製作された10HPから見ることができ、平面で垂直、かつ堂々とした大きさは圧倒的な存在感を放ちます。桁違いのステータス性(もちろん価格も)を誇るロールスロイスだけに、それを象徴するかのようなフロントグリルは、まさにアイデンティティと呼べるものでしょう。

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EVはフロントグリルがいらない

テスラ モデルX 2019フロントグリルが冷却のために必要な機能としての役割も果たすことを考えると、内燃機関を持たないEV(電気自動車)はラジエターがなく、パワーユニットの発熱量も少ないため、フロントグリルを設ける必要がありません。

それを逆手にとったのが、テスラです。EVメーカーとして、フロントグリルのないすっきりとしたシンプルなデザインをアイデンティティとしており、比較的大きな車種であるモデルXでも、フロントに開口部はありますが、ガソリン車と比べると非常に小さなものです。

ところが、BMW i3には、そのデザインアイデンティティでもあるキドニーグリルをモチーフにしたフレームが取り付けられています。これによってひと目でBMWと分かるわけですが、冷却のための穴は開いていません。i3はデザインアイコンとしてグリルが用いられていることを示す、代表的な例と言えるでしょう。

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フロントグリルは、歴史のある自動車メーカーが取り入れてきた重要なデザインアイテムであり、近年はアウディやレクサスなどが、それに追随したデザインで好評を得ています。とはいえ、自動車の電動化がさらに進むと、フロントグリルの形状や役割は変化していくでしょう。

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