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世界に影響を与えたSUV 初代レクサス RX(ハリアー)
いまや高級自動車メーカーもラインアップの中心にSUVを据えており、なかには販売の主軸となるほどの人気を獲得しているモデルも少なくありません。この高級SUVという市場を開拓したモデルが、トヨタ ハリアー(初代レクサス RX)であったことをご存知でしょうか。まさに歴史の転換点となったハリアーとそこから始まった市場の変化を解説します。
更新日2020/05/26ハリアー登場以前のSUV・RV事情
四輪駆動車が一般的になる以前、本格的なオフロード走行を目的とした自動車は、戦時中に活躍したジープに始まり、戦後になっても商用バンや緊急車両など業務で悪路走破性能が必要な車両という位置づけであり、乗用目的ではほとんど使用されていませんでした。
しかし80年代ごろになると、サスペンションやシャシーの技術革新と車両の大型化により、居住性と乗り心地が大幅に向上するのと並行して、一般ユーザーから注目がアップ。90年代にはアウトドア人気も手伝って、爆発的なRVブームが起こり、各自動車メーカーから多くのSUVが発売されました。
伝統的なクロスカントリー4WDであるトヨタ ランドクルーザーや日産 サファリには、質感の高い内装と快適な乗り心地が与えられましたし、ハイラックス サーフや三菱 パジェロも本格的な悪路走破性を持ちながら、使いやすいサイズと実用的で快適な装備を充実させ、若い世代にも人気となりました。
とはいえ、そのころのSUVは、クロカン4WDをベースに乗用車的な内装や装備を施したものが中心であり、ボディデザインは力強いものの、角ばっていて無骨な印象がありました。ですから趣味性の高いクルマに好きで乗っている、というイメージがまだ強かったのです。
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ハリアーの登場により起こった変化
初代ハリアーは、1997年に登場しました。キャッチフレーズは『WILD but FORMAL』というもので、SUVと高級車の融合という新しいジャンルを開拓したモデルとなりました。ライオンのマスクをかぶったタキシードの男性がスマートにハリアーを乗りこなす、というTVCMも印象的でした。
FFの乗用車であるトヨタ カムリをベースにしたオンロード主体のSUVであることや、スタイリッシュでスポーティなエクステリア(外観)、上品で仕上がりの良い内装、他の高級車と遜色のない豪華な装備や高級サウンドシステム、若い男性がちょっと頑張れば手の届く価格帯など。
いくつもの魅力を備えたハリアーは、斬新で目新しさを狙ったモデルではなく、ユーザーの潜在的な要望を掘り起こして具現化したことが人気の理由だったのだと思います。SUV王国であるアメリカでもレクサス RXという名前で販売され、爆発的な人気を獲得しました。
とはいえハリアーの求めた高級は、手の届かないほどの価格やため息の出るようなラグジュアリーではなく、あえて着くずしを楽しむような、遊び心のあるフォーマルといったもの。そのうえで所有することの悦び、カーライフを心ゆくまで楽しむゆとりといった楽しみ方を提案しています。これは、現在も続く高級SUV人気を支える基本的な考え方のひとつであると言えるでしょう。
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ハリアーに影響を受けたメーカーやモデル
ハリアーの成功を受け、世界の各自動車メーカーが高級クロスオーバーSUVを続々と開発し、人気となってきました。
たとえばBMW X5は、2000年に初代モデルがデビュー。同社の主力セダンである5シリーズをベースに開発した、初のSUVモデルです。その走りは、それまでの常識を覆すもので、車高の高いSUVであってもスポーティなハンドリングが実現できるということを市場に広めたモデルとなりました。
また、大衆車のイメージが強いフォルクスワーゲンは、トゥアレグという高級SUVを投入。2005年には、6.0L W型12気筒エンジンを搭載した限定モデルも登場し、高級SUVの性能競争に拍車をかけました。
トゥアレグと同じプラットフォームを持つポルシェの高級SUV、カイエンは、2002年にデビュー。またたくまに人気となり、深刻な経営危機に陥っていたポルシェを救ったのです。
現在では、コンパクトSUVのマカンも投入され、ポルシェ全体のなかのSUVの販売比率は7割を超えるなど、スポーツカーメーカーのポルシェでさえも、高級SUV市場は重要なジャンルとなっているのです。
もしハリアーが世に出ていなかったとしたら…世界の自動車史は、まったく違った道を辿っていたかもしれませんね。
高級クロスオーバーSUV市場の人気は続き、そのラインアップは充実しています。メーカーは力を入れて開発し、新型モデルも投入されています。現在では高級車を選ぶ際の選択肢として、当然のようにSUVがノミネートされてくるのではないでしょうか?ハリアーの切り拓いた新しいジャンルが、いまでも多くのメーカー、ユーザーに影響を与えている事実は、とてもすごいことなんです。