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なぜSUVにはFFと4WD以外の駆動方式が採用されないのか?
SUVブームを受け、いまや各メーカーがさまざまスタイルのSUVを販売しています。ところが駆動方式に関しては、FFと4WDばかりでFRがありません。どうしてFRの駆動方式を採用するSUVがないのでしょうか?いろいろと調べてみると、その理由がわかりました。
更新日2019/10/31そもそもFF以外の駆動方式が少ない
現在、市販されている量産車の駆動方式は、ほとんどがFF(フロントエンジン・フロントドライブ)です。その理由は、生産性と車両の居住性に関して、FRよりもメリットがあるからです。
ざっくり説明すると、FF車はエンジンルームより後ろ側に駆動系のパーツがないため、パワートレインをさまざまな車種で共用することが容易。さらにプラットフォームに関しても共有が可能と、生産コストを抑えることに有利なのです。
その良い例が、フォルクスワーゲングループの車両で、MQBプラットフォームと異なる排気量のエンジンを組み合わせることによって、フォルクスワーゲン、アウディ、シュコダ、セアトといったブランドのコンパクトモデルからSUVまで、作り分けているのです。
また、エンジン、ミッション、デファレンシャルギアがひとまとまりのFF用パワートレインは、エンジン+ミッション+ドライブシャフト+デファレンシャルという配置のFR用にくらべて、室内を広く設計できますし、エンジンを横置きにすることでフロントノーズが短くなり、結果、室内長も長く取ることが可能と、良いことづくめなのです。
こういった事情から、現在の量産車は、ほとんどがFFを採用しており、SUVもおのずとFFとそれをベースにした4WDが増えているというわけです。
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悪路では前輪駆動の方が後輪駆動より断然有利
FFの駆動方式は、駆動輪の上に重いパワートレインが載っているため、トラクションが掛かりやすいという利点があります。
日常生活でも体感できることですが、重いものほど摩擦力が強く働き、どっしりと安定します。車も同じで、タイヤに重量が加わっているほうが路面を強くグリップして、駆動輪はスリップしにくくなります。雪道などでFRよりもFFのほうが強いといわれるのは、そのためです。
また最近では、電子制御によるスリップコントロールの充実によって、FFでもかなりのレベルまで悪路走破性を高めることが可能になってきたことも、要因のひとつといえるでしょう。
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4WDは本来FRがベースだった
自動車の歴史としてはFRのほうが古く、元々4WDはFRをベースとして作られていました。現在でもトヨタ ランドクルーザーやジープ ラングラーなどに代表されるクロスカントリービークルは、その多くがFRベースの4WDです。
しかし、これらはオフロードでこそ真価を発揮するよう設計されたモデルなので、SUVのようなオンロード重視の車とはコンセプトがまったく異なります。
FRベースのクロスカントリービークルは、しばしば乗り心地や居住性といった部分が犠牲になってしまいます。重い機構を備えたぶん、燃費性能も低くなります。そのため、通勤やレジャーといったライトな用途には、オーバークオリティとなってしまうのです。
FFをベースにして「安価かつ良質な車両」を提供
現在、自動車メーカーがFFをベースとしたSUVを多くラインナップしているのは、メーカーの思惑とユーザーニーズがうまく合致したからでした。その結果、メーカーは安くて魅力的なSUVを、ユーザーのもとへ届けることができるようになったのです。