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スポーツ4WDとクロカン4WDの違いってなに?
4WDのメリットといえば、どんな点を挙げるでしょうか?滑りやすい路面や悪路でも安定して走れるのがメリット、とお答えになるかもしれません。もちろん4WDの最大のメリットは走行安定性であると言えますが、最近の技術では4WDのシステムに様々な機能や制御が加えられるようになってきました。そこで今回は、スポーツカーなどに搭載されている「スポーツ4WD」と、悪路走破を主な目的とした「クロカン4WD」をピックアップして、それぞれのシステムの特徴や違いを解説いたします。
更新日2019/10/10スポーツ4WDのシステムとは
ランボルギーニやフェラーリ、ポルシェといったスーパーカーはもちろん、日産 GT-Rやホンダ NSX、BMWといった最新スポーツカーの駆動方式は、当然のように4WDが採用されるようになっています。
これは、いくらタイヤの性能が向上したとはいえ、クルマの高性能化が進んで400馬力、500馬力といったパワーを持つようになると、二輪駆動ではその大パワーを路面に伝えきれないからです。4WDであれば効率よく駆動力を配分できるため、トラクションは向上しますし、高速域やすべりやすい路面でも走行を安定させることができます。
しかし昔は、「4WDは曲がらない」とよく言われていました。クルマが旋回するときには左右に回転差が生じるため、その回転差を吸収するためにデフ(デファレンシャル・ギア)が装着されていますが、4WDの場合はこの現象が前後でも生じます。もし4WDシステムがフルタイム(常時4WD)であれば、コーナー中は前輪がブレーキのかかったような状態になり、後輪がクルマを押し出そうとする状態になるため、曲がりにくくなってしまいます。この現象を「タイトコーナーブレーキング現象」といいます。
そこで4WD車には、この現象を解消するために「センターデフ」を備え、前後の回転差を吸収するようにしています。スポーツ4WDでは、センターデフで回転差を吸収しながら、トラクションが必要なときにはきちんとトルクが伝達されるように電子制御化されているのがほとんどです。
たとえば、スバル WRX STiの4WDシステムは「DCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)方式AWD」というものですが、これは前後輪の駆動力配分を前41:後59に設定したうえで、センターデフの差動制限を路面状況に応じて自動でコントロールするというものです。
このシステムでは、後輪に駆動力が多く配分されていることにより、リニアでスムースなハンドリングを実現しながら、滑りやすい路面では前後輪の差動を自動的に制御し、コーナーでの立ち上がりでトラクションを確保することができます。
クロカン4WDのシステムとは
クロカン4WDやクロカンSUVと言われる、クロカン(クロスカントリー)とは、野原や森、山、岩場といった、いわゆるオフロードを走ることを指します。
フルタイム方式の4WDが舗装路を快適に、安定して走るためにはセンターデフが必要であることはすでに解説しましたが、走行中にタイヤが一瞬浮いてしまうほどの大きな凸凹路面や、ぬかるみやすい泥濘路、すべりやすい岩地などを走る場合には、デフがあると空転しているタイヤに駆動力が逃げてしまい、クルマが前に進むことはできなくなってしまいます。
そこでクロカン4WDの中には、たとえばスズキ ジムニーに代表されるような「パートタイム式4WD」、すなわち2WDと4WDを任意で切り替えられるシステムがあります。ジムニーにはセンターデフが搭載されていませんから、タイヤが一輪浮いてしまうような状況でも、他のタイヤに駆動力が伝わる仕組みになっています。しかしその代わり、舗装路面ではタイトコーナーブレーキ現象が生じてしまうため、通常は2WDで走るよう説明書にも記載されています。
もちろん、本格的なクロカン4WD車の中にはセンターデフを備え、オンロードでの走行安定性も視野に入れた総合的なシステムを持つモデルもあります。以前はデフの機能を電子制御でコントロールする機能が中心でしたが、最近ではそれに加えて四輪それぞれのブレーキを細かく制御し、悪路走破性をさらに高めるテクノロジーが主流となっています。
たとえばトヨタ ランドクルーザーの4WD機能の一つ「マルチテレインセレクト」は、モードセレクタースイッチで5つのモード(ロック/ロック&ダート/モーグル/ルーズ ロック/マッド&サンド)の中から路面状況に適したものを選ぶと、各モードに応じたブレーキ油圧制御を自動で行い、駆動力を4輪に最適に分配することで、悪路走破性を向上させるテクノロジーが搭載されています。
なぜSUVにはFFと4WD以外の駆動方式が採用されないのか?
用途が違えばシステムの方向性が違う?
スポーツカーとクロカン4WDでは、走行するシーンや目指す走りが異なります。ですからそれぞれの4WDシステムには当然違いがあります。
最新のスポーツ4WDは、昔と違って「曲がる」4WDへと進化していますから、サーキットや峠などを走行する高性能車の大パワーを確実に路面に伝え、高速走行での安定性や悪天候の中でも最適なパフォーマンスを発揮するためのシステムであると言えます。
一方本格的なクロカン4WDは、オフロード走行においてトラクションが失われやすい場面で、確実に路面に駆動力を伝える機能に特化したシステムであることが分かります。
4WDシステムの技術革新が進み、その性能向上はもちろんのこと、以前よりも価格の上昇や燃費性能の悪化を心配しなくてもよくなってきました。スポーツ走行やオフロード走行など、自分が求める走りに適した4WDシステムを選び、カーライフをもっと楽しみましょう!