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パートタイム4WDとフルタイム4WDの仕組みはどう違うの?

SUVなどに多く採用される4WDシステム。前輪もしくは後輪のいずれが駆動するのではなく、4輪すべてが駆動するのがこの4WDシステムですが、ときに分からなくなるのがパートタイムとフルタイムの区別。それぞれの仕組みについてメリット&デメリットとともに紹介していきましょう。

更新日2019/09/17

4WDの歴史を振り返ってみる

ジープ ラングラー 2018
4WDシステムの歴史は古く、最も古い4WDシステムは内燃機関が生まれる前の蒸気機関の時代にすでに完成していました。19世紀半ばには4輪すべてに蒸気機関のシリンダーを備えた4WD車も登場しています。やがて19世紀後半にガソリンエンジンが誕生すると、20世紀初頭には世界初のガソリンエンジンによる4WD車が登場。センターディファレンシャルを備えるなど、現代の4WDシステムと同じ仕組みがすでに発明されていました。

その後4WDシステムは軍用車として次々と開発され進化していきます。そんな4WDシステムを世界的に有名したのが、第二次大戦中にアメリカ陸軍の要請で誕生したジープでした。ドイツ軍がすでにキューベルワーゲンという後輪駆動車を戦地に展開していたのを受けて米軍が投入した4輪駆動車は、特に悪路走破性においてキューベルワーゲンをしのぐ性能を見せたとも言われています(ちなみにキューベルワーゲンはRR)。このジープの登場によって4WDは悪路における優れた走破性を見せつけることとなり、戦後も多くのオフロード車が4WDシステムを採用することとなりました。

なぜSUVにはFFと4WD以外の駆動方式が採用されないのか?

 

フルタイム4WDはどんな仕組みなの?

フルタイム4WDとは、その名の通りつねに4つの車輪に駆動力が伝わる駆動方式のことです。前輪と後輪の間にセンターディファレンシャルギア(センターデフ)を搭載することで、エンジンの駆動力を4輪すべてに伝えることができ、さらにセンターデフによって前後輪の駆動力の配分を調整することもできるようになっています。フルタイム4WDは路面がどのような状況でも駆動力をもれなく伝えることができ、オフロードや雪道などの低ミュー路でも安定した走行性能を誇るだけでなく、高速道路のような舗装された路面でも常に高い走行性能を発揮してくれます。

このフルタイム4WDは、未舗装路を走ることを想定した本格的なSUVやオフローダーに搭載されることが多く、各自動車メーカーの主力SUVの多くはフルタイム4WDを採用しています。ただしフルタイム4WDは常に4輪を駆動することになるため、結果として燃費が悪くなることが多く、また車両重量が増えることも燃費を悪くする要因のひとつとなっています。またフルタイム4WDでは4輪のうちどれかひとつが空転すると他輪の駆動力が伝達されなくなるというデメリットがありますが、その際にはセンターデフの機能を一時的に停止できるデフロック機構が多くのモデルには備わっています。このような複雑な機構を持つため、フルタイム4WDを採用するモデルは車両価格が高いというのも特徴です。

4WDの悪路走破性が高いと言われるのはなぜ?

 

パートタイム4WDという選択肢もある

スズキ ジムニー XC 2018
常に4輪すべてに駆動力が伝わるフルタイム4WDに対し、パートタイム4WDはフルタイム4WDのようなセンターデフを搭載しておらず、前輪もしくは後輪の2輪駆動が基本となります。そして前輪と後輪の間にはプロペラシャフトがあり、そこにトランスファーを介することで、ドライバーの意思によって駆動力を2輪から4輪へと自由に変更することができるようになっています。普段は2輪駆動として走行でき、4輪駆動が必要になるシチュエーションでは4輪駆動させることが可能です。またセンターデフがない分だけ悪路から抜け出す性能もフルタイム4WDより高いとも言われています。ただしセンターデフがないため前輪と後輪の回転差が修正されず、4輪駆動のままタイトなコーナーリングをすると、前後輪の回転差によってコーナーリングに支障が出る(タイトコーナーブレーキング現象)場合もありました。

4WDって常に4輪動いているの?今更聞けないこと

 

どんな基準で選べば良いの?

Mercedes-Benz EQC 400 4MATIC, (BR N293)

パートタイム4WDは4WD黎明期こそ多くのモデルが採用していましたが、4WDシステムの進化にともない、現在はフルタイム4WDを採用するモデルの方が多くなっています。センターデフも進化し、前後輪で異なる駆動力を伝えることができたり、中にはヨーコントロールデフを採用して前後だけでなく左右の駆動力も可変できるようなシステムも開発されています。ただしこれらのシステムは多くの場合コストがかかり、その分車両価格にも反映されています。また最近ではプロペラシャフトやトランスファー内にビスカスカップリングや電子制御カップリングを搭載したスタンバイ式4WDというシステムも登場し、センターデフを用いなくても状況に応じて(駆動輪がスリップする等)、未駆動輪に駆動力を伝えることができるようになっています。フルタイム4WDよりも構造がシンプルなので車両価格を抑えることができ、燃費もフルタイム4WDよりも改善されるなどといったメリットから、小型排気量車などではこのシステムが多く使われています。

4WDが世に広まった当初はパートタイム4WDが人気でしたが、現在はフルタイム4WDやスタンバイ式4WDが主流となっています。さらに最近は電気モーターを前後に搭載したモーター駆動によるEV4WD車も登場しています(プロペラシャフトもセンターデフも必要ない)。さまざまな選択肢のなかで、自分の使用目的や懐事情にマッチするベストな1台を選ぶのが良策といえるでしょう。

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