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クロスオーバーSUVとクロカンSUVとの違いって知ってる?
現在では様々なSUVがラインアップされており、様々なメーカー、価格帯から好みの一台を見つけることができます。しかしSUVの中にも「クロスオーバーSUV」や「クロカンSUV」があり、モデルの特徴もそれぞれ異なります。そこで今回は、クロスオーバーSUVとクロカンSUVの違いについて解説いたします。
更新日2019/12/27そもそもクロスオーバーSUVとクロカンSUVってどう違うの?
「クロスオーバー」とは、異なる要素やジャンルを超えて新しい物事を作り出すこと、という意味があり、クルマだけに使われる専門用語ではありません。
日本では、アウトドアやレジャー向けのモデルを「RV(レクリエーショナル・ヴィークル)」と呼んでいた時期もありましたが、その頃は本格的な悪路走破が可能な、パジェロやランドクルーザーといった、いわゆるオフロード向けのモデルがほとんどでした。
それらのモデルは、舗装されていない山道や砂地、泥濘地や深い雪道という、通常クルマが走らないようなあらゆる場所=クロスカントリーを走行することを想定して設計されており、アウトドアブームも手伝って1980年代に人気となりました。この頃はまだSUVという言葉があまり使われていなかった時代でしたので、クロスカントリーを略して「クロカン車」とか、単に「四駆」などと呼ばれていました。
その後1990年代には、クロカン車のような力強いスタイルや高められた車高、大径タイヤを履いたスタイルでありながら、オンロードでの性能を重視するモデルが登場し始めました。初代RAV4やハリアーなどがこれに該当します。これらのモデルは、本来の目的や性能を超えた新しいジャンルとなる「クロスオーバー」と呼ばれるようになります。
この頃、すでに北米で使われていたSUVという言葉が日本でも広まりつつありました。日本ではクロカン車やRVという表現の代わりに使われるようになりましたが、それと同時にクロスオーバーが大人気となりましたので、従来からあるクロカン車と区別して、「クロスオーバーSUV」「クロカンSUV」と呼ばれるようになったのです。
クロカンSUVは基本的にラダーフレーム構造を採用
現在ではほとんどのSUVがクロスオーバーSUVになると思いますが、クロカンSUVとの違いは何でしょうか?一番の大きな違いは、クロカンSUVが基本的にラダーフレーム構造を採用していることです。
一般の乗用車やクロスオーバーSUVのほとんどは、モノコック構造を採用しています。これは構成しているパーツそのもので強度を出す、いわゆるボディそのもので衝撃を受け止め、吸収する設計になっています。ボディに直接駆動系を取り付けることができるため、生産工程が少なく、コスト面でのメリットと、車両重量軽減というメリットがあります。
一方ラダーフレーム構造は、はしご(ラダー)型のフレームに、別に作られたエンジンや駆動系、ボディーを取り付けるという設計になっており、バスやトラックにも使われている昔ながらの方式です。ラダーフレーム構造のメリットは大きな荷重に耐えられる、つまり激しいオフロード走行での強い衝撃にも耐えられるのが特徴です。
ラダーフレーム構造は、骨格とボディ、駆動系が別々になっているので、もし何かにぶつかってボディが凹んだりサスペンションが損傷しても、フレームに歪みがなければ、壊れたところだけ交換すれば走行には支障がありません。このため、本格的なオフロード走行の愛好家は、ラダーフレーム構造にこだわったクルマ選びをする方が多いのです。
分かりやすいクロカンSUVの目印は副変速機
副変速機とは、主変速機(トランスミッション)に接続させることで変速範囲を拡大させることができる機構のことです。たとえば5速MTのクルマに、HiとLoという2段式の副変速機が付いている場合、10段階のギアを選択できることになります。
副変速機のメリットや使い方はモデルによって様々ですが、クロカンSUVに搭載される場合は、ぬかるんだ道や急な坂道などで、通常よりギア比を落としたい、という時に役立ちます。
ほとんどのSUVはフルタイム方式の4WDを採用していますし、駆動力の配分やブレーキなども含めて電子制御化され、ほとんどの路面でドライバーが何か特別な操作をする必要はありません。しかしジムニーやジープなど、一部のパートタイム式4WDを採用するクロカンSUVには、シフトレバーの他に副変速機レバーが備わっており、ドライバーが任意で2WDと4WDの切り替え、またギア比の選択を行うことができます。
クロスオーバーSUVの走破性は良い?
本格的なクロカンSUVが、オフロード走行に特化した機能や性能を持っているのは当然ですが、クロスオーバーSUVをオフロードシーンに持ち込んだ時の走りはどうなのでしょうか。
オフロードでの走行で主に求められる性能は、荒れた路面でも下回りをぶつけずに済むよう高い車高であることと、滑りやすい路面やぬかるみでも、トラクション(駆動力)を確保できるかということです。
車高については、クロスオーバーSUVでもセダンやミニバンより高くなっていますから、この点ではほとんど心配ないと言っても良いでしょう。
トラクションについてはモデルによって性能に違いはありますが、ミドルクラス以上のクロスオーバーSUVであれば4WDの設定があり、しかも電子制御で駆動力をコントロールしてくれる高性能なシステムが備わっていることが多いようです。
例えば、トヨタ RAV4に搭載されているような4WDシステムは、走行状況に応じて前後と後輪左右のトルク配分を自動で制御し、オンロードでの走行はもちろん、悪路でも安定したコーナリングが可能になっています。またブレーキを個別で制御することができるため、空転したタイヤにブレーキをかけ、他のタイヤに駆動トルクを配分するようにし、スタックからの脱出も容易にしています。
近年のクロスオーバーSUVは、ドライバーに高い運転技術がなくても、あらゆる路面で高い走破性と安定した走行を楽しめるよう、最新技術が投入されています。
クロスオーバーSUVの性能が年々進歩し、オフロードでも高い走破性を持つようになっています。とはいえ、堅牢なラダーフレーム構造を持つようなクロカンSUVが少なくなるのは寂しく思います。コストがかかっても、他には変えられない魅力があるモデルとして、ぜひ残り続けて欲しいものですね。