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SUVにスライドドアがないのはなぜ?
今日の自動車市場において、もっとも勢いのあるカテゴリーがSUVです。世界中のメーカーが注目しており、アメリカや日本ではミニバンに変わる多人数乗車ができるモデルとしても注目されています。しかし、スライドドアが採用されているSUVは皆無。なぜSUVにスライドドアが採用されないのでしょうか。
更新日2020/01/21スライドドア付きSUVはほとんどない
世界中の自動車メーカーのラインナップを見渡しても、スライドドア付きのSUVは、三菱 デリカ D:5以外には見当たりません。とはいえ、デリカD:5のボディは完全な箱型で、ミニバンの車高を高めたモデルという見方もできます。
つまり、一般的な2ボックスのSUVという意味では、スライドドアを採用する車種は皆無なのです。
ここで疑問となるのが、なぜスライドドア付きのSUVが販売されていないのかということです。それはスライドドアがなぜミニバンに必要なのかを考えると、おのずと答えがみえてきます。
スライドドアは、後席乗員の乗り降りの利便性を高めるために採用されています。そのためドアの開口部を大きく取った設計で、車種によっては、セカンドシートを倒さずにサードシートに乗り込むことができます。
この大きなドアをヒンジ式にすると、ドアを開けるためのスペースが必要になり、狭い駐車場で苦労したり、ドア自体の重さが増すのでヒンジ部やピラー部の強度が必要になったりと、問題が露呈してきます。
さらに、ドア開口部が広くなったことによるボディ剛性の低下、電動スライドドア採用によるパーツの増加なども考えられます。
そもそもSUVには、優れた走破性が求められます。それを達成するためには、基本性能としてのボディ剛性確保はマストであり、開口部の大きなスライドドアは、車両の設計を難しくさせるだけ。デメリットでしかありません。
また近年の自動車作りは、いくつもの車種でプラットフォームを共用する傾向にありますが、ミニバンだけはセダンやSUVと共用できないこともスライドドアの採用を少なくしている理由です。
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スライドドアを採用するSUVは今後登場するのか?
前述したように、いまのところはスライドドアを採用するSUVはほぼ存在していません。しかし、今後、スライドドア付きSUVが登場する可能性は、無きにしも非ずです。
その筆頭が、2017年の東京モーターショーでトヨタが発表したTJクルーザーです。2020年の発売がウワサされているこのクルマは、新しいジャンルのクロスオーバーで、スライドドアが採用される予定です。
また製造技術が進化して、開口部を広げても求められているボディ剛性を維持することができるようになることがあるかもしれませんし、デザイン面からも、流行や利便性への高いニーズによってらスライドドアへとシフトする可能性が考えられます。
さらには、ここ数年、日本国内でも多人数乗車が可能なSUVが増えており、それらはミニバンの市場を侵食していると言われています。今後、ファミリーカーとしてSUVの需要が高くなれば、安全なスライドドアの採用をメーカー側が提案するかもしれません。
3列目への乗降性と、ドアの大型化によって駐車した横のスペースを確保しなければならないという問題に対する答えとして、テスラがSUVのモデルXでファルコンウイングドアを採用したことは記憶に新しいところです。
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今後も、SUVカテゴリー人気が続き、さらに市場が拡大すれば、テスラ同様の跳ね上げ式ドアや、スライドドアを採用するモデルが登場するのかもしれません。