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FRベースのSUV7選〜なぜ、あの頃FRベースのSUVがあったのでしょう?〜

居住性やユーティリティスペースの確保からすればレイアウトはFFベースの方が有利です。でも、昔はFRベースのSUVもたくさんありました。それもクロスカントリーモデル以外に存在していたんです。どうしてFRベースになったのかは、各モデルに「なるほど」という理由や事情があります。それれもこれもSUV進化の過程です。

更新日2020/05/21

なぜFRのSUVは少なくなったの?

ラダーフレーム

話はシンプルです。なぜ以前はFR(フロントエンジン・リアドライブ)ベースのSUVがあったかというと、軽自動車やコンパクトカー以外の乗用車やピックアップトラックなどが、FRだったからです。これらのFRモデルをベースにSUV化したので、4WDモデルも2WDで走るときはFRです。

元々FRモデルはエンジンが縦置き(クランクシャフトが進行方向と同じ縦置き)なので、4WD化する場合は後輪駆動に前輪駆動を加えます。

クランクからミッション、そしてプロペラシャフトまで軸の向きを変えず駆動力を伝達できる縦置きFRが自動車にとって最も素直で伝統的な構造です。FFは横置きエンジンで、FFならプロペラシャフトが必要なくスペース的には有利ですが、駆動輪と操舵輪が同じなので、実は難しい技術だったんです。

横置きFFで最初に世界的な成功を納めたのは、ご存知のミニ(イギリスのBMC社。1959年発売)。日本初のFFはスズキ スズライト(縦置きFF)で、1970年代に入ると小型乗用車(ホンダ シビックや日産 チェリーなど)は続々とFFになっていきました。現在はFF技術が進化し、小中型乗用車はほとんどFFで、同じプラットフォームのSUVもFFベースで4WD化するのです。一方クロスカントリーモデルはラダーフレームを使った時点でスペースを取られてしまうので、それよりも強力なエンジン、強靭さ、オフロード走破性、積載力を優先して、現在でもFRベースです。

ラダーフレーム構造を採用したSUV10選

 

初代BMW X1(2010~2015)

FRの3シリーズをベースにした縦置きエンジンSUV


2010年に日本でも発売開始されたBMW初のコンパクトSUVがX1です。ベースとなったのは縦置きエンジンFRの乗用車3シリーズです。当時BMW傘下にあったミニ(第2世代)はFFですが、標準ボディより長いバンタイプでも全長3,980㎜しかなく、SUVとしては小さいと判断したのでしょう。ちなみに後に全長4,145㎜のクロスオーバーが加わります。

初期型X1は全長4,470㎜×全幅1,800㎜×全高1,545mmです。エンジンは縦置き3.0L 直6DOHCと縦置き2.0L 直4DOHCでスタートしました。そしてフルタイム4WDばかりではなく、2WDのFRモデルもラインアップ。舗装路と降雪地でも、除雪が行き届いた平地ならばFRでも充分という判断で、これは他のSUVでもありますね。その後X1は2.0L 直4に新世代エンジンを投入。2015年発売の第2世代からFFベースとなるまで、FRモデルも設定していました。

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日産 スカイラインクロスオーバー(2009~2016)

FRセダンのプラットフォームから生まれたミドルサイズSUV

日産 スカイラインクロスオーバー 2009日産 スカイラインの名を冠したクロスオーバーSUVです。2007年に北米でインフィニティ EX35として発売され、日本には2009年にスカイランクロスオーバーとしてデビューしました。日産のFR車用のFR-Lプラットフォーム(欧州EセグメントのサイズなのでEプラットフォームとも呼ばれます)を使っています。これはスカインラインやフーガなども同じですが、スカイランクロスオーバーは全長4,635㎜×全幅1,800㎜×全高1,575㎜と、同時期のスカイラインセダン(全長4,755㎜)やフーガ(全長4,945㎜)よりボディやホイールベースがショートです。アテーサE-TSの電子制御トルクスプリット4WDに加え、FRモデルも設定されました。

エンジンはガソリン3.7L V6DOHCで、もちろん縦置きです。国内向けスカイランクロスオーバーは2016年型で終わりましたが、北米ではFRベースにインフィニティQX50 が2014年から発売されました。その後QX50は2018年からの第2世代でFFベースとなっています。

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ダイハツ テリオス(1997~2006)

オフロード性能を重視してFRレイアウトを採用

1997年に発売されてコンパクトSUVのテリオスは、このサイズ(1997年モデル:全長3,865㎜×全幅1,555㎜×全高1,760㎜)にしては珍しい縦置きエンジンFRベースモデルです。なぜFRベースかというと、オフロードの泥、砂、深雪など走行抵抗の大きな場合に充分対応できる丈夫なトランスミッションやトランファーを、無理なくレイアウトするためです。同時にセンターデフロック機構も装備。つまりオフロード性能を重視したためFRベースとなったのです。

弟分のテリオスキッドや、2006年モデルから車名を変更したビーゴにもFRレイアウトは継承されています。エンジンは1.3L 直4SOHC(2000年にDOHCに変更)や1.3L 直4DOHCターボがありました。FRベースのバランスや走破性の高さを実証したモデルです。

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初代ダイハツ ロッキー (1990~1997)

本格小型クロカンはパートタイム4WDにこだわった

ダイハツ ロッキー 2019※画像は2代目ロッキー

今、大注目の話題のクロスオーバーSUV、ロッキー(2019年発売)はロッキーの第2世代で、当然FFベースで、FFとフルタイム4WDがあります。一方第1世代のロッキー(1990~1997年)は本格クロスカントリーモデルで、ラダーフレームで+リアリジッドアクスルのFRレイアウトを採用しています。

駆動方式はパートタイム4WD(2速副変速機付き)とフルタイム4WD(センターデフ付き)がありましたが、1992年に5MTに加えATが追加になった時点でフルタイム4WDを廃止しました。フルタイム4WDにはローレンジがないため、オフロード走破性に劣るからというのがその理由でしょう。全長3,705㎜×全高1,635㎜×全高1,725㎜(初期型)にガソリン1.6L 直4を搭載。サイズもパワーも日本の林道にはぴったりなライトクロカンでした。

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2代目 スズキ エスクード(1997〜2005)

スタイリッシュで軽量・コンパクトな本格クロカン

スズキ エスクード 1997 2代目

本格的なクロスカントリーSUVでありながら、経済性やオンロードでの乗り心地といった普段使いを強く意識したパッケージで売り出されたエスクードは、いわゆるクロスオーバーSUVの先駆けのような存在でした。

1997年にモデルチェンジした2代目は、初代と同様堅牢なラダーフレーム構造+FRレイアウトを継承しながらも、居住性を大幅に向上させて使い勝手を高めています。

エンジンは、1.6L 直4、2.0L 直4、2.5L V6のガソリンと2.0Lディーゼルの4タイプ。ニーズに合わせて豊富なラインアップが用意されました。

特別仕様車にはファッションデザイナーの山本寛斎がアレンジしたモデルや、アウトドアブランド ヘリーハンセン、国際スキー連盟とタイアップしたモデルが用意されるなど、優れたオフロード性能だけでなく、アウトドアをスタイリッシュに楽しむSUVというイメージを高めたモデルでもありました。

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4代目 トヨタ ハイラックスサーフ(2002〜2009)

アーバンユースからレクリエーションユースまで対応するSUV

ハイラックスサーフ 2009もともとはピックアップトラックのハイラックスをベースにしたモデルでしたが、日本国内仕様の最終モデルは、同社のランドクルーザー プラドと多くの部品を共有することで、洗練されたSUVへと生まれ変わりました。

ハイラックスのタフなイメージを継承しつつ、全体的にスポーティな印象が加えられており、若い方がアウトドアでのレジャーを楽しみつつ、アーバンユースでもスタイリッシュに乗りこなせるデザインになっています。

4WDモデルはFRベースのマルチモード4WDシステムを搭載。新構造のトルセンLSDとの組み合わせにより、前後のトルク配分を自動で変化させ、一般路から悪天候時などさまざまな路面状況に対応した高い駆動力を発揮します。

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スズキ ジムニー L(2000〜2001)/ジムニー J2(2001〜2002)

ファッショナブルな幻のジムニー

ジムニーJ2

画像:J2

軽自動車の新規格に合わせてフルモデルチェンジとなった3代目ジムニーに、2WDモデルとして追加されたのがジムニー Lです。

ジムニーといえばその類まれな悪路走破性が売りですが、ジムニー Lのコンセプトは「本格クロスカントリータイプならではの力強く機能的なデザインを、ファッションとして街中等で気軽に楽しみたいとするユーザーニーズに対応」といういさぎよいもの。パールホワイトの専用車体色、スモークガラスのファッショナブルな外装に5速MTで、価格は114万3000円(発売当時)とお買い得なモデルでした。

ジムニーLに、専用ボンネットフード&フロントグリル、フォグランプ内蔵専用バンパー、専用ヘッドライトユニット、15インチのスチールホイールなどを装着し、オクラシック風のおしゃれな外装としたモデルが、ジムニー J2です。

販売期間は1年と短く、マニアの間では幻のジムニーと呼ばれています。

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以前はFRが全盛だったからという他にも、FRレイアウトだからこそオフロードでもへこたれないミッション/トランスファーを装備できるということもFRベースが存在した理由です。現在の代表的でなクロカン(ランドクルーザーやジムニーなど)はFRベースです。決して古臭いわけではありません。FR、ラダーフレーム、リジッドアクスルはやはりオフロードに強いということですね。

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