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デフロックってなに?スタック時の最終手段!?
デフロック(Locking Differential)機能を装備しているSUVは、やっぱり本格派という感じがしますよね。最新の電子制御フルタイム4WDなのに、そんな原始的な機能はいらない!? いえいえ、本当に過酷なオフロードを体験すると、デフロックのありがたさを知ることになります。それに意外と身近な乗り物にも装着されているんです。
更新日2020/05/29デフ=差動装置は、車輪の回転差を吸収するもの
デファレンシャルギア=デフは差動装置で、2WD車にも付いています。前後アクスル(車軸)にあって、クルマが曲がるときに左右輪で生まれる回転差をここで吸収して、上手い具合に外側車輪を多く、内側車輪を少なく回すようにします。直進では左右輪は同じ回転数になります。
いっぽう4WDでは、前後輪の回転差も問題になります。滑りにくい(グリップの良い)舗装路では、後輪が前輪より内側を回ろうとしますから、前後輪を繋ぐプロペラシャフトのどこかにデフを入れて、前後輪の回転差を調整するのです。これがセンターデフで、フルタイム4WDの必須の装置です。
またこれがないと、舗装路で小さく曲がろうととすると、タイトコーナーブレーキング現象が起きます。前後輪が直結だと、回転差が逃げないので、滑っていない車輪からバックロード(逆方向にかかるトルク)がプロペラシャフトなどの駆動系に発生し、上手く曲がれないどころか、ブレーキがかかったようになり、最悪駆動系の故障に繫がります。
このためフルタイム4WDでは、前後アクスルとセンターデフ、計3つのデフを持っています。
センターデフを持たないパートタイム4WDで、グリップの良い舗装路など2WDで走るのは、このためでもあります。
厳密に言えばドライな路面でもタイヤは微妙に滑っているわけですが、その滑り具合が問題で、ほとんど滑らずに車輪の回転差を逃がすことができない場合、2WDでも4WDでもデフが必要になるというわけです。
ところが上手くできたデフにも弱点があります。左右輪もセンターデフも、空転する車輪があると、他の車輪の回転が止まって、結果としてまったく前に進まなくなってしまうことがあるんです。
これはデフの持つ素晴らしい働きが裏目に出た結果です。そこで差動をある程度制限するLSD(リミテッド・スリップ・デフ)や、デフを効かせないで直結にするデフロックの登場となります。左右輪の差動制限するLSDは、2WDのハイパワースポーツカーにも使われます。
フルタイム4WDで前後輪を直結するセンターデフロック
フルタイム4WDのセンターデフは、トルセン(トルクセンシティブ=トルク感応型)LSD、ビスカスカップリング式、多板クラッチ式(電子制御式だと日産エクストレイルなど)と、さまざまな種類があります。
LSD機能があっても、直結ではありませんから、ある車輪が激しく空転するなど4輪のグリップ状態が大きく異なる状況では、やはり前後輪を直結したほうが脱出が楽になる場合もあります。
そこで必要になるのがセンターデフロックです。ざっくりいえば、これでパートタイム4WDにするわけです。どうせ滑るのですから、滑っていない、滑りが小さい車輪の駆動力で進めば良いでのです。
ランクル/ランクルプラドのセンターデフはトレセンLSD付きで、前後トルク配分は40:60を基本として走行状態によって可変します。それをデフロックすると、50:50に固定されます。
ちょっと混乱しやすいのですが、デフ機能を生かした場合を「デフはフリー状態」、デフを機能させない直結状態を「デフロック」と言います。
ジープラングラーも2WD、フルタイム4WD、センターデフロックしたパートタイム4WD(H/L)を切り替えられます。日産エクストレイルは、多板クラッチ式電子制御カプリングをロックさせ前後輪を直結状態にできます。
左右輪を直結するデフロックは商用トラックにも
2WDでも4WDでも、アクスルにデフがあります。これは左右輪の曲がるときに左右輪の回転差を調節するものです。前に説明したように、空転が激しい場合などは、片方だけ空転、もう片方は止まってしまいます。
ジープラングラー アンリミテッド ルビコンは、前後にもデフロックを備え、前後もしくは後輪だけを使い分けることができます。また、ランクルプラドはリアデフが2種類あり、トルセンLSD付きデフでないデフには電動デフロック機構が装備されます。
またリアデフロックに限っていえば、軽トラックやFRの大型トラックにも装備されることがあります。
林業や農業では当たり前のようにでくわす、深い轍、段差、泥ねい路など、そういった条件下では必須の装備。農繁仕様を含むスズキキャリイ(4WD)には、スイッチひとつでリアデフロックができる機能があります。
さらに大型トラックの場合は、もっと日常的に使う場面があります。歩道などの段差に乗り上げ、片輪だけスリップするような場合、スムーズに段差を乗り越えられるよう装備されます。積載を考えてサスが硬いため片側が浮きやすいので、そういった装備が用意されているのです。
電子デバイスが進化してブレーキLSDやトラクションコントロールなどは当たり前の装備で、今後はセンターデフロックやアクスルデフロックなんて必要ない、という方もいます。が、シンプルにデフロックはトラクションが得やすく、ドライバーがそのトラクション感覚をつかみやすく、悪路での脱出性能が高いのも事実です。パートタイム4WDもそうですが、無くなってほしくない機能ですね。
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