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【残念ながら短命に終わった】リンカーン MKXとは、どんなクルマ?
2005年に誕生したリンカーン MKXは、大型SUVのナビゲーターに対し、MKXはCUV(Cross Utility Vehicle)というミドルサイズのクロスオーバーSUVを標榜し、大柄過ぎないボディサイズとリンカーンに相応しいプレミアム感で新しいSUVの在り方を示しました。今回はそんなMKXの、日本仕様版(=初代モデル)について振り返ってみましょう。
更新日2020/06/12短命に終わったMKX
フォードの主力SUVであるエクスプローラーをベースに開発された、リンカーンブランドのSUVがMKXです。その前身は、2003年から製造されたアビエーターで、ミドルサイズのSUVであるエクスプローラーをベースとしながらも、リンカーンブランドに相応しい高級感をもち合わせていました。
後継モデルにあたるMKXは、2006年1月の北米国際オートショーでワールドプレミアされ、同年末に販売をスタート。リンカーンブランドとしては初となるCUV(クロスオーバーユーティリティビークル)として、発売直後から話題となりました。
ちなみに同じタイミングでデビューしたフォード エッジは、MKXの姉妹モデルです。
日本では2008年秋から正規輸入を開始。当時のラインナップはベースグレードのみのモノグレード展開で、発売当初の新車価格は650万円でした。
初代MKXは2011年にフェイスリフトを伴うマイナーチェンジが行なわれ、内外装およびパワートレインに大幅な改良が施されています。
特に印象的なのがフロントグリルのデザイン変更で、スプリットウインググリルによって高級感を演出。ウイングシェイプと呼ばれるリンカーン特有のデザインを随所に散りばめました。
2014年に北京モーターショーで2代目モデルとなるMKXコンセプトをお披露目。翌年の北米国際モーターショーで、市販バージョンが発表され、同年に販売をスタートしましたが、日本い導入されることはありませんでした。2019年になると、モデル名をノーチラスへ変更。MKXという名前は姿を消しました。
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ミドルクラスながら高級感もあるエクステリア
初代MKXのボディサイズは、全長4,750mm×全幅1,925mm×全高1,705mm、ホイールベース2,820mm。プラットフォームには、姉妹車であるフォード エッジにも使われる、CD3プラットフォームを採用。このプラットフォームは、当時のパートナー企業であるマツダが開発しアテンザで採用したGG/GYプラットフォームがベースとなっています。
スタイリング(外装)デザインは、リンカーン スターをモチーフにした格子型のクロームグリルや、横一文字のリヤLEDテールランプなどで個性を主張。
このフロントグリルは、2011年のマイナーチェンジによってスプリットウインググリルへと意匠変更が行なわれ、プレミアム感を高めました。
足もとには18インチのホイールが標準。発売当初のボディカラーは、ブラックとライトアイスブルーの2色展開で、その後ホワイトプラチナムやブリリアントシルバーなどが加わりましたが、それ以上バリエーションが増えることはなく最終的にはタキシードブラックとホワイトプラチナムというモノトーン色のみの展開となっていました。
また日本仕様モデルでは必須とされていたサイドアンダーミラーの代わりに小型ミラーを搭載することで、フロントまわりがすっきりとしたデザインになっているのもMKXの特徴です。
ブランドに相応しいインテリア
室内寸法は、室内長1,950mm、室内幅1,515mm、室内高1,130mmという大きさで、ゆとりのある広さを実現。
装備内容は、ブランドに恥じない豪華なもので、プレミアムレザーを贅沢に使用したフロントシートには運転席と助手席にシートヒーターを装備するほか、左右独立式の温度設定式オートエアコンや電動操作によるパノラミックサンルーフ、地デジ内蔵+HDDナビ&9スピーカーサウンドシステムが標準装備されました。
細部の意匠は、メイプルウッドのトリムやクロームの加飾パネルを随所に散りばめ、7種類のカラーリングが任意設定できるアンビエントライティングシステムによって足もとやカップホルダーなどを美しく照らし出します。
くわえて2011年のマイナーチェンジによって、インパネにマイ・リンカーンタッチという新機能を搭載。音声操作(英語のみ)対応で、8インチのタッチパネル式カラースクリーンにさまざまなインフォメーションを表示することができるようになりました。
また2013年にはステアリングにパドルシフトが搭載され、軽快なスポーツ走行が可能に。ちなみに日本で発売されていたMKXは、すべて左ハンドル仕様のみとなっています。
パフォーマンス&安全装備
パワートレインは、新開発の3.5L V6エンジンで、最高出力198kW(269PS)/6,250rpm、最大トルク339Nm(34.6kgm)/4,500rpmを発生。トランスミッションには、同じく新開発となる6速ATを採用していました。
このエンジンは、2011年のマイナーチェンジでパワーアップと燃費向上が期待できるTi‐VCT(吸排気独立可変バルブタイミング機構)を採用した3.7L V6に変更。それにより、 最高出力227kW(309PS)/6,500rpm、最大トルク380Nm(38.7kmg)/4,000rpmとなりました。
組み合わせられるトランスミッションは、従来の6速ATのままながらシフトグリップのスイッチ操作によってマニュアル操作ができるようになっています。
駆動方式は、状況に応じてFF走行になるインテリジェントAWDシステムを採用。のちに車両の動きに応じて左右後輪のトルク配分を調整するロールスタビリティコントロール付アドバンストラックが装備されています。
安全装備の面では、エアバッグやシートベルトテンショナーが作動した際に自動でハザードランプを点滅し、警笛を3回に鳴らして周囲に危険を知らせるSOSポストクラッシュアラートを採用。
またドライバーの死角を低減するブライドスポットミラーや、自動防眩機能の付いたドアミラーも装備します。
個性的なデザインとリンカーンというブランド力を背負って、2008年に日本で発売されたSUVがMKXでしたが、フォードの日本市場撤退もあり、短命に終わりました。しかしながら、いい意味でヨーロッパ的なデザインとリンカーンというブランド力が融合したMKXは、ヨーロッパや日本生まれのSUVにはない魅力を兼ね備えたモデルだったのでした。