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【いまさら聞けない】”クロカン”とはなに?クロカンの起源と代表車種も紹介
クロカンはクロスカントリーの略で、いわゆる悪路走破性の高いモデルのことを言いますが、今回はクロカンの意味や歴史、どんなモデルをクロカンと呼ぶのかなど紹介していきます。
更新日2022/04/11クロカンってどんなクルマ?
冒頭でも触れましたが、クロカンとはSUVの一ジャンルで悪路走行を得意とするクルマのことを言います。悪路とは、草地や砂地、岩場、ぬかるみ、急こう配など普通のクルマでは走行することが困難な道のことで、オフロードとも言われます。クロカンとはそんな荒れた道でも走破することができるクルマなのです。
クロカンの大きな特徴として挙げられるのはラダーフレームと呼ばれるはしごのような頑丈なフレームが採用されていることです。ボディとシャシーが別体になっているので、ボディが大きな損傷を受けても走行には影響しないのが特徴です。
ちなみに、近年人気の高いクロスオーバーSUVは、一般車と同じモノコックフレームを採用していることがほとんど。ボディとシャシーが一体になっているため、ボディの損傷が走行性能に影響しやすく、悪路を突き進めるような性能は備えていないことがほとんどです。
クロカンの起源は軍用車?
クロカンの歴史は戦争の時代まで遡ります。1940年アメリカ陸軍の要請によりジープが開発した小型四輪駆動車がクロカンの起源とされています。モデル名は「ウイリスジープ」で翌年1941年には実戦投入されています。
戦時中の砂漠の長距離パトロール、除雪、消防ポンプ車、戦場救急車、トラクター、さらにはホイールを付け替えれば線路を走ることもできた万能なこのモデルは、まさに戦場を駆け抜けるためにつくられたクルマでした。
「どこへでも行ける。何でもできる。」クルマとして讃えられ、クルマの歴史に大きな影響を与えた一台であると同時に、初代ジープ=クロカンのはじまりでもあるのです。
戦後、その技術は日本を含む世界に広まり、今日クロカンモデルとして様々なメーカーがラインアップするようになりました。
日本初のクロカンはランクルのご先祖
日本でのクロカンの歴史は、警察予備隊(自衛隊の前身)にトヨタが軍事用のクルマの開発を要請されたことから始まりました。そして、1951年に「トヨタジープ BJ型」として誕生したモデルが、日本初のクロカンモデルです。日本でクロカンが誕生した経緯もジープと似た背景がありますね。
シャシーはSBトラックという小型自動車のフレームを改良したもので、同時期に警察予備隊向けにウイリスジープのノックダウン生産として作られた三菱 ジープよりも大きな3.4Lのエンジンを搭載していました。
結果的に警察予備隊の車両採用試験に合格したのは三菱 ジープの方でしたが、後に国家警察のパトロールカーとして採用されることとなりました。その後ジープという名前が商標権に触れてしまうため「ランドクルーザー」と改められました。これが日本でのクロカンのはじまりです。
今販売されているクロカンを一挙公開
トヨタ ランドクルーザー
前項で紹介した通り初代ランドクルーザーの登場は1951年、軍事車両として開発されたのがきっかけでした。非常に長い歴史を持つモデルですが、現行モデルは200系と呼ばれており、日本のみならず世界で活躍しているクルマです。
かつてのランドクルーザーは圧倒的な走破性と耐久性を確保するためにサスペンションにリーフリジットを採用していましたが、現行モデルでは、オンロードでの乗り心地も確保すべくコイルリジットに変更されています。1989年に登場した80系以降は単なる無骨なスタイルだけでなく高級感も意識されるようになり、内外装ともに大きく変更が見られます。現行モデルの200系は最大で2,690kgにもなる重たく大きな車体の動力を確保するために、パワーユニットにはV8 4.6Lという大きなエンジンが搭載されています。
トヨタ ランドクルーザープラド
1990年に登場した初代ランドクルーザープラド(以下、プラド)はヘビーデューティなランドクルーザーに比べて、コンパクトで日常でも扱いやすいライトクロカンモデルとして登場。オンロード、オフロード問わず快適な走行性能を手に入れています。1984年にランドクルーザー70系のライトデューティ版として導入されたランドクルーザーワゴンはプラドの前身となるモデルです。
現行モデルはエンジンも2.7Lと実用的な排気量で、ガソリン車の他、本家にはないディーゼルモデルもラインアップされています。
発売当時はアウトドア向けのRV車がブームとなっており、都会でも気軽に乗ることができるプラドは海や山でキャンプやバーベキューを楽しみたいという層に好まれました。
レクサス LX
LXはランドクルーザーをベースにつくられたプレミアムSUVです。もちろんその走破性の高さは折り紙付きです。
初代モデルが登場したのは1996年ですが、販売されたのは北米をメインとした海外市場のみで日本には導入されませんでした。その後2代目、3代目とモデルチェンジを経て2015年にようやく日本に導入されることとなったモデルです。
内外装の高級感はランドクルーザーよりも高品質なのはもちろんですが、エンジンも、4.6Lの6速ATから5.7Lの8速ATとパワーユニットも大幅にアップデートされています。絶対的な悪路の走破性を誇るLXですが、オフロードに行くのが躊躇われるくらいの高級感を纏ったモデルです。
スズキ ジムニー
初代ジムニーは1970年に登場しました。悪路走破性を高めるラダーフレームはこの頃から採用されていますが、ボディタイプは幌のみで快適性は重視されていなかったようです。
現行モデルは4代目にあたり20年ぶりのフルモデルチェンジとなります。往年のジムニーを意識させる角張ったボディと丸いヘッドライトが特徴のエクステリア(外装)は無骨さを感じさせつつも愛くるしく老若男女に受け入られるデザインです。
クロカンという位置づけなので、初代の足回りは信頼性の高い前後リーフリジットのサスペンションを装備していましたが、3代目からはオンロードでの乗り心地も重視し、2代目最終モデル以降は3リンクリジッドアクスル式コイルスプリングが採用されています。
ジープ ラングラー
初代ラングラーは1987年に登場しており、発売から30年以上に経ちますが、現行モデルとなる4代目でも初代を踏襲したキープコンセプトを採用しています。初代が幌を採用したオープンモデルだったこともあり、現行モデルでも着脱式のルーフパネルを採用。オフロード車でありながらオープンエアを楽しむことができる貴重なモデルです。
パワートレインには3.7Lの自然吸気エンジンと2.0Lターボエンジンの他、ラングラーとしては初となるプラグインハイブリッドモデルも追加される予定です。
ジープの現在のラインアップの中では唯一、ウイルスジープのスタイリングを踏襲したモデルということもあり、限定車として往年のブランドの名にちなんだ「ウイリス」を掲げるモデルも登場しています。
メルセデス・ベンツ Gクラス
1979年に登場したGクラスは、元々は軍事車両として開発されたクルマ「ゲレンデヴァーゲン」を乗用車用にアレンジしたのがはじまりです。ちなみに民生用モデルの型式は「W460」、軍用に生産されたモデルの型式は「W461」となります。
現行モデルのエクステリアは初代を忠実に再現。マイナーチェンジにより中身は進化していますが、基本設計は当時からほぼ変わっていません。しかし、モデルチェンジのたびに高級化が進んでいるので、その点では初期のモデルとは大きく異なります。
現行モデルはベースモデルのG350dに3.0Lのディーゼルターボ、トップグレードのG550に4.0Lのガソリンターボエンジンが搭載されています。
ランドローバー ディフェンダー
ディフェンダー90(1990〜2020)
ディフェンダーという名が与えられたのは1990年で、幾度となく改良が実施されましたが2016年まで販売され続けました。ただし、大元を辿ると1948年に登場した「ランドローバー・シリーズ1」がディフェンダーの起源であり、こちらが初代モデルという見方や、1983年に登場した「ランドローバー110」を初代とカウントする場合もあります。
モデルライフの長いディフェンダーも2020年についにフルモデルチェンジを迎えます。それまではラダーフレームを採用するクロカンモデルでしたが、モデルチェンジを機にモノコックボディに改め構造を大きく変更しました。
エンジンは2.0Lガソリンターボエンジンを中心にハイパフォーマンスモデルには3.0Lのディーゼルターボが設定されています。
惜しまれつつも販売終了したクロカン
トヨタ FJクルーザー
FJクルーザーは2006年に北米にて登場し、その人気を受けて後の2010年に日本で販売が開始されたモデルです。ベースのランドクルーザープラドと同様にラダーフレームで構成されているため、ボディは非常に頑丈です。ツートンカラーのボディや丸目ヘッドライトのレトロなスタイルは1960年に販売されたFJ40型ランドクルーザーをオマージュしています。構造も独特で乗降用のドアはピラーレスの観音開きとなっています。
防水・防汚の車内や手袋をしたままでも操作しやすいエアコンスイッチやインナードアハンドルなどアウトドア向けの装備も充実しています。2018年には販売を終了していますが、中古市場では依然として人気のモデルです。
三菱 パジェロ
1982年に登場したパジェロはRVブームの火付け役としても知られています。翌年にはパリ・ダカールラリーに参戦し、強固なラダーフレームによる走破性の高さを世界にアピールすることに成功、海外市場でも人気のモデルとなりました。
ボディタイプは3ドアのショートと5ドアのロングを設定。乗車定員はそれぞれ5人と7人となっていました。
日本で販売が終了する2019年には「ファイナルエディション」を発表。パワーユニットには140kW(190PS)を発生する3.2Lのディーゼルターボを搭載。クロカンモデルの名に恥じない力強いエンジンとなっていました。
現在は海外専用モデルとして販売されていますが、FJクルーザーと同様に国内でも中古市場で根強い人気を持つモデルです。
SUVと一括りにされてしまうこともあるクロカンですが、ラダーフレームが持つ頑丈なボディは通常のSUVとは比べ物にならないオフロード性能を持っています。また、クロカンモデル独特の無骨さやワイルドさも唯一無二の存在感を持っています。クロカンは普通車では行くことが出来ない、新たなフィールドに連れて行ってくれる頼もしいクルマなのです。