【SUV映えを探しに行こう!】 新型イヴォークの性能と奥久慈の名物料理を堪能する、往復460kmの旅

モデルチェンジ受けて大きく性能をアップさせたレンジローバーの末弟、イヴォーク。英国貴族御用達ブランドなら、シューティングだろう!という単純なひらめきのおもむくまま、奥久慈(北茨城)の名物を求めて旅してきました。

更新日2019/11/11

TEXT:嶋田 智之(Shimada Tomoyuki)、 PHOTO:宮越 孝政(Miyakoshi Takamasa)、
MODEL:桜田 莉奈(Sakurada Rina)

【SUV映えを探しに行こう!】 新型イヴォークの性能と奥久慈の名物料理を堪能する、往復460kmの旅

たとえば心から気に入っている服に身を包まれていたり、誰もが認めるブランドの上質な靴を履いていたり。そんなふうに快い装いの自分でいられるときって、ワケもなくどこかへ出掛けてみたくなったりしませんか?

クルマもまったく同じ。詳しくない人にもスタイリッシュに見え、詳しい人には一目置かれるブランドのクルマが手元にあると、どこかに出掛けたくなる気持ちが自然と膨らむものです。

それだからして、新型のレンジローバー イヴォークを試乗のためにあてがわれた僕が、ふと茨城の奥久慈へと走っていきたくなったとしても、まったく不思議はありません。

奥久慈は、都内の自宅から200km弱、およそ2時間半前後の道のりで、首都高速と常磐自動車道という高速道路、市街地の一般道、気持ちいいアップ&ダウンと、さまざまな曲率のコーナーが続く山道、そして望めば脇道にそれてワインディングロードすら楽しめるという、オンロードでのクルマのフィールをチェックするには最適のルート。

しかも久慈川の河原に降りれば、砂利や砂、ちょっとしたガレ場でのオフロード性能にも触れることもできそうだし、休息にちょうどいい観光地も意外やたくさんあるのです。

が、正直に白状するなら、奥久慈を目指した理由はもっと単純。

レンジローバーは英国の貴族たちが狩猟に使うクルマ

“狩猟=鳥撃ち”という貧困な発想

“美味い鳥を食べたい”という卑しい発想

“ならば奥久慈で軍鶏だろ”という素晴らしい思いつき──。その発想の流れの情けなさはともかく、レンジローバーが英国の王侯貴族御用達のブランドであり、実際にハンティングやシューティングといったある種の上流階級のたしなみともいえた狩猟に出掛けるときに使うというのは本当です。

英国の4WD社専門メーカーであるランドローバー社のフラッグシップモデルとしてレンジローバーが誕生したのは、1970年のこと。

英国陸軍の特殊部隊向けオフローダーなどを作っていたランドローバー社のなかで最高位の悪路走破性を持ち、けれど普段は高級セダンにも劣らない快適さを味わいながら走ることのできるオール・パーパス・ヴィークルとして開発されたモデルでした。

以来、レンジローバーブランドはランドローバー社のなかのフラッグシップラインとして、その基本コンセプトに忠実なモデルを、ヴァリエーションを広げながら世に送り出してきています。

イヴォークは、高価なレンジローバーブランドのボトムを担うモデルとして、初代が2010年に発表されました。

その2年前に公開された、オフローダーとしては衝撃的といえるほど美しく洗練されたコンセプトカー“LRX”そのままのデザインが与えられたことでも話題になりましたが、もうひとつの衝撃は、その価格。

日本には2012年に上陸を果たしたのですが、もっとも安価なグレードでは500万円を切る450万円という値付けで販売がスタートしたのです。

もちろん上級モデル達と較べてしまうとコストが抑えられてる部分も見受けられましたが、レンジローバーの世界観はまったく損なわれていませんでしたし、レンジローバーを名乗る以上は4WD車としてのパフォーマンスにも手抜かりはなし、おまけに上級レンジローバーにはない軽快ともいえるたぐいのスポーティな乗り味を持っていました。

2代目イヴォークも、基本、その線を踏襲しています。現在のレンジローバーのスタイリングデザインを牽引してきた、初代イヴォークの造形をさらに滑らかにスムーズに円やかに流したような印象。脊髄反射的に“かっこいいな”と思わされます。

インテリアもしかり。Tの字を描くシンプルな造形、そして物理的なスイッチ/ボタン類を極力排したさらにシンプルな操作系。それでいて実際に操作をしてみると、なにひとつ不自由さはありません。

そしてレンジローバーならではの、視覚的にも触感的にも上質な居心地の良さ。これぞ洗練、といった雰囲気です。言葉で自慢するのは野暮だけど、さりげなく見せることで自尊心を満たしたくなるような、そんな満足感が生まれます。

今回の試乗車は、上級グレードのイヴォークSE P250。もっとも充実した装備類を持ち、パワーユニットもガソリンの2.0L 直列4気筒直噴ターボ、最高出力183kW(249PS)に最大トルク300Nmという仕様が搭載されています。

走り出して最初に感じたのは、ああ、やっぱりレンジローバーだな、と素直に思える乗り心地です。

硬さはないのに適度に引き締まっていて、引き締まっているのに角がなく、角がないのに腰はあって、腰があるのにしなやか。軽やかではあっても軽々しくなく、安定しているけどドタッと重々しいわけでもない。

そうした絶妙なセットアップが、まさしくレンジローバーの味。だから街中や高速道路では、いたって快適。ピシッと安定しているので、ステアリングを握る手が神経質になることもありません。

またエンジンは、アクセルをグッと踏み込みさえすれば、ターボの過給が気持ちよく立ち上がって活発といえる加速を見せてくれますが、クルージングのようなそれほど右足にチカラを込めないときでもトルクが豊かで、力強さをたっぷりと感じられます。だから移動は極めてらくらくの疲れ知らず、でした。

そして多彩なコーナーが続く山道に入ると、これがまた気持ちいいのです。

シャシーのフットワークは、先代よりしっとり感が増した印象の、ほどよいスポーティさ。過剰にグイグイ曲がるようなことはありませんが、曲がりたいぶんだけ素直に曲がってくれる性格が、すんなりと馴染みます。

エンジンもスッキリと素早く吹け上がろうとしながらパワーを生んでいくので、コーナーからの立ち上がりでもじれったさはありません。

その気になれば、ガンガン行きたくなるようなワインディングロードなどで結構な速さをも楽しむことのできるクルマです。

が、今回は山道ではあってもあくまでも生活道路。ほどほどのペースで走っているときの、エンジンの常用域での滑らかさと過不足のないちょうどいい力強さ、そしてそのトルクの美味しいところを当たり前のように使わせてくれる9速ATの出来映えが光りました。

生活道路といえば、今回のルート沿いにちょっと面白いところがあったので、オフセットして走ってみました。いわゆる沈下橋、です。潜水橋とか沈み橋、あるいは地獄橋なんて呼ばれることもありますね。

そう、欄干がないか極端に低いかで、嵐や大雨の後などに川の水位が上がると水面に姿を隠してしまう橋です。久慈川には、いくつかの沈下橋があるのです。

なぜ沈下橋を走ってみたかったか。「クリアサイト・グラウンド・ビュー」という機能を試してみたかったからです。

簡単にいってしまうなら、車体に取り付けられた複数のカメラからの映像を合成し、フロントの車体下部とタイヤの位置関係をモニターで確認することのできる機能です。本来は悪路で次々と現れる岩や陥没などの障害物をクリアしながら走るのに有効なシステムとして開発されたものですが、たとえば都内でも死角にある障害物を避けながら進みたいというシチュエーションは意外や少なくないもの。

その有効性を、欄干の低い沈下橋でチェックすることができるかな?と思ったのでした。

いや、これ、ものすごく有効です。ドライバーズシートからは橋に侵入する際の横幅規制のポールも見えないし、イヴォークの最低地上高よりも低い欄干なんてボンネットの先の方にしか見えません。が、それらすべてが怖いくらいハッキリと目視できるのです。これはとっても新鮮な体験。

河原に降りてみたときも、地面の目地が変化するところやどこに大きな石があってどこに地面の凹みがあるかなどがしっかり確認できました。

すべてのオフローダーやSUVに、この機構があったらいいのに、とすら思います。

話が出たついでにお伝えしておくと、河原には降りてみましたが、イヴォークはまったく意に介さずといった印象。

イヴォークは通常走行時には後輪へのトルク伝達をカットして前輪だけで走って燃費を稼ぎますが、4WDが必要になれば瞬時に後輪にもトルクを伝達するフルタイム4WDシステムです。

また路面状況や走行状況をセンシングして自動的に駆動力の配分をシームレスに変えてくれるし、自分自身で走行モードを切り替えて路面状況に対応することもできます。なによりレンジローバーを名乗るには“ランドローバー社の最高位のオフロード性能を持つ”レベルにないとならないという大前提もあるわけです。

この程度の地面なら ─クリアサイト・グラウンド・ビューでクルマを傷つけないよう真剣にチェックこそしましたが─ イヴォークにとってはラフロードのうちには入らないようで、進退きわまるような事態に陥ることはありませんでした。

といった具合にあらゆる路面を余裕でクリアし、先代よりグッと大人っぽく成熟した感のある新型イヴォークで快適に目的地へと到達した僕は、軍鶏料理の老舗である奥久慈の大子町(だいこまち)の旅館の名物中の名物である軍鶏弁当や軍鶏の親子丼に舌鼓を打つことに成功し、さらには滝を裏側からも見られる月待ちの滝や明治時代の息吹を今に伝える旧上岡小学校などを巡り、都内に戻ってきました。

総走行距離は460kmほど。でも、クルマがよくできてると、そのくらいの距離ならちっとも疲れないのです。

新型イヴォークと暮らしたら、毎週でもこういうショートトリップにでかけたくなっちゃいそう…。その日のことを思い出しながら、いま、そんな気分に襲われています。

 


■玉屋旅館
茨城県久慈郡大子町大字大子718  TEL:02957-2-0123
営業時間:11:00~14:30(夜は予約のみ) 年中無休

昭和の雰囲気を残す玉屋旅館。奥久慈しゃも料理の元祖として知られるここでは、しゃも弁当、しゃも親子丼のほか、しゃも鍋もいただけるほか、予約をすれば持ち帰り用のしゃも弁当も用意してくれます。全国地鶏味品評会で1位に輝いたこともあるブランド鶏は、一度試してみる価値ありの逸品です。

 


■旧上岡小学校(きゅううえおかしょうがっこう)
茨城県久慈郡大子町上岡914 TEL:0295-72-1148
NHK朝の連続テレビ小説「花子とアン」や「おひさま」をはじめ、さまざまなドラマや映画のロケに使われている旧上岡小学校。玄関から左右対称に建築された美しい左側の校舎は、明治43年築。その背面の一段高い場所に第2校舎があります。平日は建物外部の見学のみ可能。土日やイベント時には内部の見学ができます。

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