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【悪路走破性が高い!?】パートタイム4WDとは?その採用車種も紹介
SUVの4WDには、大きくわけるとパートタイム式とフルタイム式、オンデマンド式という3つの駆動方式があります。そのなかで現在の主流は、フルタイムとオンデマンド式ですが、いくつかの車種ではいまだにパートタイム式が採用されています。それらのモデルは、どうして主流でもないパートタイム式を使っているのでしょうか?パートタイム式4WDを使うことについて、メリットを考えてみましょう。
更新日2021/01/19パートタイム4WDとは?メリット・デメリット
パートタイム4WDとは、通常は2WD状態で走行し、必要に応じてドライバーが4WDへの切り替えを行うシステムで、レバーやスイッチによってトランスファーに動力を伝え、主たる駆動輪以外のタイヤに駆動力を与えます。
4WDの必要が無い場合には2WDで走行することになるので、フルタイム4WDに比べて燃費の面で有利に働き、悪路走破性も高いのがメリットです。
しかしながら、デメリットもいくつか存在します。フルタイム4WDでは、センターデフという機構が接続されており、クルマがコーナーを曲がる際に発生する、前後左右輪の回転差をセンターデフが吸収してくれるので、自然にコーナーを曲がることができます。
一方、パートタイム4WDの多くは、このセンターデフが装着されていないので、乾燥路面で4WDのままコーナーを曲がると、旋回距離の短い後輪が前輪を押し出す形になり抵抗が生まれ、ブレーキがかかったような状態になります。
これをタイトコーナーブレーキング現象と呼びます。車庫入れの際や、一般道でのUターンのように、大きくステアリングを切る操作を行いながら、クルマを動かすと、聞きなれない異音や振動を感じ、操舵感が重くなります。クルマを旋回させることが難しくなり、危険を伴う状態です。また、この状態を続けることで、駆動系に大きな負担をかけることになります。
パートタイム4WDでは、トランスファーレバー(スイッチ)で2H、4H、4Lという3種類を切り替えることができます。数字の部分が駆動輪、アルファベットのHはハイ(高速)モード、Lはロー(低速)モードという意味です。例えば、2Hでは2輪駆動の高速域まで使用できるモードとなるわけです。使い分けとしては、一般の乾燥路面は2H、速度を出しながら走るダートや雪道では4H、スタックした場合や低速で走行するぬかるんだ道などでは4Lを使い、路面状況に応じて、しっかりと駆動方式を切り替える必要性があります。特に、乾燥路面を走行する際には、必ず2Hを使用しましょう。
乾燥路面でも、常時4Hで走行すると、前述したタイトコーナーブレーキング現象が起こります。パートタイム4WDの四駆モードを使用するのは、路面μが低くなった場面で使用すると覚えておきましょう。
どんな車種に採用されている?
ジープ ラングラー
シープの象徴的な本格オフローダーモデルがラングラーです。搭載されているパワートレインは2.0L 直列4気筒ターボ、3.6L V型6気筒エンジンの2種類です。ボディパネルには軽量かつ高強度の素材を使い、ドアパネルやフェンダーにはアルミニウム、骨格部分等にはマグネシウムを用いて、高剛性かつ軽量なボディに仕上げています。
4WDシステムには、従来までのパートタイム4×4に加え、フルタイムオンデマンド4×4システムを採用しています。4H AUTOモードでは、舗装路を含めたあらゆる路面を安全に走行でき、パートタイムモードに切り替えることで、センターデフがロックされ、より強いトラクションを生み出すことができます。都市から悪路まで、幅広く使うことができる、新世代の本格オフローダーSUVです。
【SUV映えを探しに行こう!】 進化した本格オフローダー、ジープ ラングラー
スズキ ジムニー/ジムニーシエラ
国産車の中でも、本格オフロードSUVとして長い歴史を持つのがジムニーシリーズです。シャシーには、梯子型に組んだ頑強なラダーフレームを採用。2018年に発売された4代目ジムニーは、新設計のラダーフレームとなっており、X(エックス)メンバーと、前後にクロスメンバーを加えることで、ねじり剛性をさらに高めることに成功しています。
伝統的なエンジン縦置きのFRレイアウトを採用し、エンジンをフロントタイヤよりも後方に配置することで、厳しい悪路走行にも対応できる有効な対障害角度を確保しています。ジムニーでは0.66Lターボエンジン、ジムニーシエラでは1.5Lエンジンを採用し、機械式副変速機付き パートタイム4WDを採用することで、路面状況に合わせて、2WDと4WDの切り替えを行うことができます。4Lでは通常の2倍の駆動力を発揮し、急な登坂路や悪路の走破性をより高めて走行することが可能です。
トヨタ ランドクルーザー70
トヨタが半世紀以上にわたって製造を続ける本格オフローダーがランドクルーザー。その長い歴史のなかで、1984年から2004年まで日本国内で販売されていたのがランドクルーザー70(70系、以下ランクル70)です。
海外では2004年以降も販売を継続。この海外販売仕様は、2014年から翌年まで日本でも限定発売を行ない、大きな反響を集めました。ちなみにこの2014年モデルは、比較的年式が新しく、中古で買える本格クロカンとして人気を集めています。
ランクル70のボディタイプは、2ドアショート(ハードトップ/ソフトトップ)や、2ドアミドル(ハードトップ/FRPトップ)、4ドアのセミロングなど、さまざまなボディタイプのモデルがラインアップ。
2014年モデルには、4ドアバン・セミロングホイールベース仕様、後席を備えたスーパーロングホイールベース ダブルキャプが用意されていました。
このランクル70では、2WDでは後輪駆動、トランスファーレバーを操作すると4WDとなるパートタイム4WDを採用しています。また堅牢な剛性を生み出すラダーフレームを伝統的に採用し、サスペンションは前後ともにリジットアクスル&リーフスプリングを採用。
ただし1999年のマイナーチェンジによりフロントのみコイルスプリングへと変更されており、2014年に日本で限定販売された70もフロントがコイルスプリングとなっているので乗り心地が大きく改善されています。
トランスミッションは5速MT/4速AT(2014年モデルは5MTのみ)。トランスファーを切り替えることで、燃費を意識した走りから高速走行、悪路や急坂などあらゆる路面状況に応じた走りができるようになっています。
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三菱 パジェロ
三菱自動車が1982年から生産を続けてきた人気の大型4WDモデルであるパジェロ。惜しまれつつも2020年をもってその歴史に幕を閉じましたが、海外では「パジェロスポーツ(日本での旧名はチャレンジャー)」という名前のモデルが現在も販売されています。
パジェロでは初代モデルよりトランスファーと一体となった副変速機を搭載したパートタイム4WDを採用。2代目パジェロからは「スーパーセレクト4WD」と呼ばれる三菱独自の4WDシステムが採用され、3代目のパジェロでは「スーパーセレクト4WD II」へと進化しました。
このスーパーセレクト4WDでは、パートタイム4WDにセンターデフとビスカスカップリングを搭載し、駆動パターンをトランスファーで切り替えられるようになっています。
駆動パターンはFRと、フルタイム4WD、直結4WD(デフロック)があり、さらに直結4WDでは路面状況に応じて4HLcモードと、より本格的なオフロードに対応するローギアの4LLcが選べます。
最初のスーパーセレクト4WDでは前後のトルク配分が50対50であるのに対し、スーパーセレクト4WD IIではプラネタリーギアの採用によって前後のトルク配分を33対67と後輪寄りにすることで2WD時の操縦安定性を向上させ、操作面では従来の手動レバーによる操作から電気スイッチへと変更しています。
ちなみにスーパー4WD IIを搭載した3代目のパジェロでは、従来のラダーフレームからラダーフレームに一部モノコックを組み合わせた骨格へと変更され、足まわりはフロントがダブルウイッシュボーン+コイルスプリング、リアがマルチリンクの独立懸架式を採用。スーパーセレクト4WD IIと合わせて、乗り心地や操縦安定性が高められています。
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トヨタ ハイラックス
国産では非常に珍しいピックアップトラックがハイラックスです。2.4L 直列4気筒ディーゼルエンジンが、パワフルな動力をそのままに、燃費性能を向上させ、どんな道でもしっかりと走破できるパワーを与えてくれています。
骨格部分には高剛性フレーム構造のラダーフレームを採用し、厳しい路面状況かでも、サスペンションがしっかりと路面を捉えることができるでしょう。
路面状況によって駆動方式を切り替えるパートタイム4WDシステムを採用し、ダイヤル式のスイッチで、操作性も高くなっています。H2、H4、L4の3つのモードを使い分け、様々な悪路をしっかりと走り抜けることができるでしょう。
トランスファースイッチがH4とL4の状態では、アクティブトラクションコントロールが機能し、岩場やオフロードでの加速時にスリップを感知すると、空転した車輪にブレーキをかけ、残りの車輪に駆動力を配分することで、悪路での走行安定性を高めています。
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トヨタ FJクルーザー
2018年まで生産されていた、レトロスタイルのオフロードSUVがFJクルーザーです。4.0L V型6気筒のパワフルなエンジンを積み込み、シャシーにはラダーフレーム構造を採用した強靭なオフローダーです。5速ATに組み合わされる4WDシステムはパートタイム式となっており、オフロードパッケージではリアデフロックを標準装備します。
前後左右のショックアブソーバーや、前後左右のショックアブソーバーをたすき掛けにして、ロールやピッチを抑制するシステムであるX-REASをオプション設定するなど、悪路走行に対する準備に余念がありません。ランドクルーザーの系譜を色濃く受け継ぐ、トヨタのオフロードSUVの代表的な1台です。
パートタイム4WDについて解説してきました。現在パートタイム式の4WDシステムを採用するクルマは少なくなっていますが、本格的なオフロードSUVには、まだまだ採用されている、4WDの伝統的な機構です。悪路走破性の高さを基準にクルマを選ぶ際には、パートタイム4WDか否かという点を、一つの指標にしてみてもいいでしょう。